キヤノンMJ、イーセットと共同でマネージド型脅威対応サービスを拡大

今回は「キヤノンMJ、イーセットと共同でマネージド型脅威対応サービスを拡大」についてご紹介します。

関連ワード (セキュリティ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 キヤノンマーケティングジャパン(CMJ)は2月14日、スロバキアのセキュリティ企業のESETとの事業戦略説明会を開き、マネージド型脅威検知・対応(MDR)サービスの国内展開を拡大すると発表した。中堅・中小企業での利用促進を図る。

 CMJは、2003年からESET製品の日本での総販売代理店として協業しており、2018年にはCMJグループ企業のキヤノンITソリューションズESETが合弁でESETの日本法人「イーセットジャパン」を設立している。説明会の冒頭でCMJ 取締役 上席執行役員 マーケティング統括部門長の蛭川初巳氏は、「ESETの強みはマルウェアなどの脅威に対抗する高い技術力、CMJが強みとする提案力とサポートを共同で提供し、日本企業のより安全なビジネスを支援していく」と述べた。

 ESETは1992年に創業し、現在では200カ国以上の国・地域でビジネスを展開する。最高経営責任者の(CEO)のRichard Marko氏は、30年以上にわたって継続的な成長を遂げており、2023会計年度売上高で6億8570万ユーロ(約1105億円)を見込んでいるとした。

 またMarko氏は、世界中の企業・組織がさまざまなセキュリティ課題を抱え、特にAIの台頭や地政学的な問題、IoTなど製造分野におけるIT化などを背景に、セキュリティ人材の不足やセキュリティ投資の負担、セキュリティ対策の複雑化などがあると指摘する。同社では、定評ある挙動解析技術を生かしたエンドポイント防御(EPP)製品を主力として、2018年からはエンドポイント型の脅威検知・対応(EDR)も展開し、さらにネットワークなども含む拡張型の脅威検知・対応(XDR)に発展させている。これらを「ESET PROTECT」プラットフォームとして展開し、導入・運用がしやすい製品・サービスの実現に取り組んでいるとした。

 昨今は、コロナ禍を経て企業・組織の働き方がオフィスや自宅などを柔軟に選択するハイブリッド型へ移行するケースが広がっており、同社のセキュリティ製品もクラウドサービス型の採用が増えているという。Marko氏は、米国市場ではクラウド型の採用率が8割を超えるとし、日本市場でも今後同様の動きになるだろうと予想した。

 こうした企業のIT環境やセキュリティ環境の現状を踏まえてMarko氏は、サイバー攻撃などの脅威対策では、EPPによる高度な防御とXDRによる迅速な脅威対応が重要になると説明した。EPPで可能な限り脅威を防ぎ、EPPで阻止が難しい脅威の侵入をXDRで検知・対応する。ただ、XDRの運用には専門家や常時監視・対応のためのリソースなども必要で、利用できるのは、大規模組織や社会的に極めて重要な組織などに限られていた。

 このためMarko氏は、同社の専門家などがサポートする形で中堅・中小企業でもXDRを利用できるようMDRの拡充に注力していると説明した。日本向けのサービス提供基盤を国内にホストしており、検知した脅威への20分以内の対応強化(目標)やレポート提供などを進める。2024年4月には、ESET PROTECTで組み込み型のダッシュボード機能を追加し、脅威の防御・検知・対応の運用を一気通貫で容易に行えるようにするとした。

 さらに2024年の取り組みでは、製品にランサムウェア被害からの復旧機能と、大規模言語モデルを活用したAIチャットボット機能を製品・サービスに実装する方針も明らかにした。

 日本市場での具体的な事業戦略をCMJ セキュリティソリューション企画本部長の輿水直貴氏が説明した。CMJは、ESETと連携して日本でMDRサービス「ESET PROTECT MDR」を主に大企業顧客向けに提供しており、1月26日には新たに中堅・中小企業向けとなる「ESET PROTECT MDR Lite」サービスの提供を開始した。

 輿水氏は、MDRに注力する理由について、市場調査会社の富士キメラ総研のデータを引用し、2027年には日本でEDRの市場規模とEPPの市場規模が逆転するとの予想を紹介。今後はEPPを含めた包括的な脅威対策が求められていくため、市場が拡大しているXDRやMDRへの取り組みを強化するという。

 同社のMDRサービスは、CMJグループの技術者とESETの技術者が連携して、24時間体制で提供しているとのこと。対応する脅威を3段階に分類し、レベル1~2はCMJ、レベル3はESETの技術者が対応する。CMJ自体もグループ企業を含め約2万台の業務用端末にXDRを導入し、顧客向けサービスと同じ体制でMDRを利用している。輿水氏によれば、CMJでの導入は、導入時の調整が約1カ月、約2万台への展開が4カ月程度だった。この自社導入経験もサービス提供の大きな強みだとする。

 なお、これまではCMJグループ各社のプレセールスとプレセールスSE(システムエンジニア)が顧客にMDRサービスを提案する体制だった。提供拡大に向けた今後は、CMJグループの販売パートナーの支援強化、SI(システムインテグレーション)パートナーとの連携強化によってMDR導入案件への対応力を高める。またMDRの運用体制についても、EPP製品・サービスに強い担当者のスキルをXDR領域にも拡大させるほか、人材採用を促進していくとする。

 輿水氏は、これらの事業戦略を通じて「より多くのお客さまがセキュリティ対策のレベルを高めていけるよう、常に進化し信頼あるセキュリティの提供に努めたい」などと意気込みを語った。

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