企業のIT投資モデルに変化、AIの活用推進に本腰–レノボESの重点戦略
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レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ(レノボES)は、日本でのレノボ・グループにおいてITインフラ領域を主力事業としている。2023年7月に代表取締役社長に多田直哉氏が就任し、顧客企業の最適なIT活用を促進する戦略を加速させている。同氏に取り組みを尋ねた。
多田氏は、就任から約半年の間について、「まるで3年も5年も在籍しているような感覚を覚えた」と述べる。「レノボのグローバル戦略、地域ごとのビジネス状況はとても明確で、すぐにキャッチアップすることができた。就任から1カ月で、われわれがこれから取り組むべき戦略を始動させた」と振り返る。
同氏がまず手応えを得ているとするのは、アズ・ア・サービス型の「TruScale」だという。サーバーやストレージ、エッジ、クラウドなどの製品・サービスについて、ユーザーがリソースを使用した分に応じて課金するモデルだ。競合も同様の提供モデルを推進しているだけに、ITインフラ領域は、企業が調達時の初期投資(CAPEX)を抑えて、利用実態に即したコスト(OPEX)を支払うスタイルが定着し始めた。
「あらゆる業種の大手、中堅、中小の全ての顧客セグメントで順調に受注しており、大きなムーブメントになったと感じている。(ITインフラ市場では)半数の企業がアズ・ア・サービス型に関心を持ち、もう半数はTruScaleのオファリングに注目していただいている」
アズ・ア・サービス型が日本市場でも広がる背景には、企業のIT予算の約8割が既存領域に充当されるという伝統的な構図から脱却したいとの意向などがある。ここ数年のDXブームにより、企業は新規事業など成長性が期待される領域へのIT投資を強化したいが、現実的には伝統的な構図が足かせになったままだ。
多田氏は、「多くの企業の実態は、まだDXに行く前のデジタル化の段階。このためCAPEXからOPEXに移行することで、企業は財務的なメリットを得られる。また、関心の高いAIは多大なエネルギーコストを伴うだけに、サステナビリティー(持続可能性)の点からも、高性能と低消費電力を両立したTruScaleのオファリングがお客さまの要件にほぼ合致している」と述べる。