強みと弱みを知り日本と世界をつなぐ架け橋に–Colt APAC社長の水谷氏
今回は「強みと弱みを知り日本と世界をつなぐ架け橋に–Colt APAC社長の水谷氏」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、トップインタビュー等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
英国ロンドンに本拠を置くグローバル通信大手のColt Technology Servicesは、2024年1月1付で新設したアジア太平洋地域(APAC)のプレジデントに、最高マーケティング責任者(CMO)の水谷安孝氏を起用した。グローバル企業の中枢で活躍する同氏に、ネットワーク業界や新市場でのビジネスの展望を尋ねた。
–新しいAPAC プレジデントの職責はどのようなものでしょうか。
特定の地域の全ての部門を統括する立場は初めての経験になります。ただ、CMOでも世界中のマーケティングを見ながら当社のグローバル戦略を展開していましたので、職位としては同等の異動になります。APACの営業拠点があるシンガポールや香港、日本と、中国や韓国を含めたオペレーションなどAPAC全体を統括します。地域は(グローバルより)狭まりますが、ビジネス全体を所管する点が異なります。
–今までの経歴とは異なる新しい挑戦ですね。
例えば、法務や人事などですが、やはり包括的にAPAC市場のビジネスを統括していくということが新しい挑戦です。以前にはマーケティングやプロダクトに携わり、営業のような動き方をしたり営業担当者と協働したりする機会がたくさんありました。入社時(2007年、当時はKVH)にネットワークオペレーションセンター(NOC)で機器を触りながらお客さまと一緒により良い使い方を考えていくといった業務も担当していました。パートナービジネスなど広く経験し、今回改めてそれらを包括的にマネジメントしていくことが新しい挑戦です。
–これまでの経歴を存分に発揮できそうですね。
CMOの時は、よく「異色の経歴だ」と言われました。お客さまのサービスの利用をネットワーク運用の立場で理解している人材があまりいなかったようで、私の経歴は恵まれているのかもしれません。例えば、ネットワークの中で情報通信として電気信号の「0」と「1」の配列がどのように流れ、それがオンライン会議アプリケーションなら、どのような仕組みでお互いの表情を見ながら会話しているのかといったことをネットワークの物理層から(顧客やパートナーら)と会話できるのが強みだと思います。
–CMOとしてグローバル市場を見てきましたが、役割が変わったことでAPAC市場の捉え方も変わりましたか。
変わった部分と変わらない部分があります。まずマクロな観点でアジアが継続的な成長市場だという捉え方は変わりません。今までもグローバルの中でアジアの成長率が突出して高く、実際にAPAC市場を細かく見たりお客さまのところに足を運んだりしても、やはり伸びているとすごく実感します。では、どのようなお客さまがいて、それぞれにどのような課題を抱えているのかに目を向けると、細部になるほどに新しいものが見えてきました。これまでとは違って、そうした地域のニーズに応える投資の在り方を考えるようになりました。
–グローバル市場と異なるAPAC市場ならでは特徴はありますか。
APACというより日本に特化した話になりますが、日本はAIの許容度が高く、AIの取り組み方がとても柔軟で進んでいる企業がこんなに多いのかと感じます。政府の積極的な支援やAI活用による生産性向上を重視する企業の姿勢など、AIに多少のリスクがあっても機密情報を避けて、それ以外の情報を積極的にAIで活用していこうとしています。「パブリックなAI」や「プライベートなAI」などがありますが、日本は(パブリッククラウドのAIサービスなどの)「パブリックなAI」の積極的な利用がとても進んでいて、それに対する海外からの視線もすごく強まっていると感じます。
海外の大手のクラウド各社が日本に巨額の投資を行うと発表していますが、私も日本市場のAIの動向を海外から聞かれることがとても増えました。以前はそれほど注目されていませんでしたが、日本をAIのテスト市場と位置付け、何かを学ぼうとする海外企業の意欲が明らかに高まっていますね。
–AIの動向に関しては、日本市場がとても進んでいますか。
欧州はデータプライバシーの考え方やクラウド利用に対してすごく慎重ですし、「GDPR(欧州の一般データ保護規制)」などプライバシー関連の法令もあり、できるだけデータを自国内で完結させ、AIに取り入れる際にもすごく細心の注意を払って慎重に進めています。対して日本は、新しい技術で生産性が向上し競争力が高まるなら、できる限り早いタイミングで活用していこうとする企業がとても多い印象です。