CEOの一声で定例会議を廃止–Shopifyカントリー・マネージャーに聞くその後

今回は「CEOの一声で定例会議を廃止–Shopifyカントリー・マネージャーに聞くその後」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 コロナ禍で働き方が変わり、感染拡大が一段落した現在でも働き方の模索は続いている。リモートワークの継続/オフィス回帰が争点の一つだが、「会議」にスポットを当てたのがコマースプラットフォームのShopifyだ。共同創業者で最高経営責任者(CEO)のTobias Lutke氏は2023年初頭に「Meetings are a bug(会議はバグ)」と言い切り、従業員のカレンダーから会議の予定が削除された。それから約1年、日本法人はどのような状況なのか。カントリー・マネージャーの太原真氏に聞いた。

 Shopifyはカナダを本拠地とするコマースプラットフォーム。創業は2004年、ECの興隆とともに成長してきた。

 新型コロナウイルス感染症が世界を襲った2020年、Lutke氏はリモートワークを基本とすることを「X(旧Twitter)」で発言。コロナ禍が収束に向かう中でオフィスに回帰する企業も少なくないが、同社はリモートワークを継続している。

 そのような状況で、冒頭のLutke氏の「会議はバグ」発言が行われた。

 その時点で世界の従業員のカレンダーから、合計約1万2000の会議が一旦削除された。時間にして年間通算9万5000時間以上。併せてLutke氏は、水曜日(日本では木曜日)はミーティングを実施しない「ミーティングフリーデー」とすることも決定した。

 「全世界同時に削除されたので、(時差の関係で)日本では朝起きたら消えていた」と太原氏は苦笑まじりに振り返る。とはいえ対象となるのは、全ての会議ではなく3人以上の定例会議。1対1のミーティングは除外対象ではない。

 背景にあるのは、ビジネスを取り巻く環境の変化だ。コロナ禍でECは活況を呈し、 Shopifyにも大きな追い風が吹いた。しかし、2023年初頭になると人の行き来が再開し、国内でも2023年5月から新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行した。

 「コロナ禍後でビジネスのスピードが問われていた」と太原氏。「取り巻く状況が刻々と変化しており、お客さまや事業者から新しい問い合わせが来る。われわれも新しい問い合わせへの対応を考えなければならず、素早い対応が求められていた」と続ける。

 そのため、ビジネスパートナーの都合などの例外はあったものの、国内でもグローバルと同様に3人以上の定例会議をストップした。「スピード感を持って状況に対応するために、一人一人が仕事をしなければならない。会議をしている時間はないというのがTobi(Lutke氏)の考え」と太原氏。

 「年初というタイミングもちょうど良かった。コロナ禍で『本当にこの会議は必要か』という議論をせずに続けていた会議が突然なくなった。その時間をどう配分しようかと考えることができた」という。

 Shopifyの場合、既にチャットなどのビジネスコミュニケーションツールは導入されており、意思決定の多くはチャットやメールで行われている。3人以上の定例会は「認識合わせ」であることが多く、裏を返せば共通認識があれば必要はないといえる。

 「本当は全員同じ認識でなければならないのに、(認識が)合っていない。そこで1時間や30分という時間を使って認識合わせをしなければならない」(太原氏)。そのためLutke氏は「バグ」という言葉を使ったと分析する。

 導入しているツールを最大限活用できていなかったという見方もできる。これについて、太原氏は「メールやチャット、プロジェクトマネジメントツールもあり、これらを使って情報や資料を共有したり、コメントしたりして仕事を進められるのがベスト」としつつ、「会議の方が楽。書面で説明するには、きちんと伝わる文章にしなければならず、つい会議を選んでしまう」と認める。そのようにして会議が積み重なっていったため、「会議はバグ」発言の後は、業務報告にはツールの活用などを奨励しているそうだ。

 会議は楽だがデメリットも多い。太原氏は次のように語る。「報告する時、会議だと“笑ってごまかす”こともできるが、文字は記録に残るので責任が発生する。受け取る側にしても、会議でスライド資料を何十枚と見せられるより、文字になっている方が伝わる。(面倒だが)報告は文字で残す方がいい」

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