銀河英雄伝説で考えるセキュリティ–帝国と同盟のゲートウェイ「イゼルローン」の存在
今回は「銀河英雄伝説で考えるセキュリティ–帝国と同盟のゲートウェイ「イゼルローン」の存在」についてご紹介します。
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本連載「企業セキュリティの歩き方」では、セキュリティ業界を取り巻く現状や課題、問題点をひもときながら、サイバーセキュリティのスキルを向上させていくための視点やヒントを提示する。
今回も壮大なスケールの物語である「銀河英雄伝説の世界観」を題材にセキュリティを解説していく。前回は、キャラクターが大きく異なる2人の主人公「ラインハルト・フォン・ローエングラム」と「ヤン・ウェンリー」の立ち位置などについて述べた。銀河英雄伝説は、この2人を取り巻くおびただしい数の登場人物によって引き起こされる銀河全体を巻き込んだ戦いの物語だ。
巨大な宇宙空間を舞台に繰り広げられる宇宙艦隊同士の戦いと、無限に近い大きさのサイバー空間を舞台にしたサイバー攻撃の攻防には、類似性が数多くある。この物語を例にすることで、セキュリティに関する知見が少ない、無い人々にセキュリティを少しでも理解していただきたいと考えている。
今回は、2人の主人公が所属する「銀河帝国(帝国)」と「自由惑星同盟(同盟)」の両陣営が衝突することの多いエリア「イゼルローン回廊」と、そこに建設された要塞やその周辺で行われた戦闘などを例に解説する。
銀河英雄伝説の舞台である銀河系(私たちが住む「天の川銀河の未来」という設定)のほぼ中央には、星々の重力場などの影響によって宇宙戦艦が航行できない宙域がある。銀河は、この宙域を境に、2つ(と後述する帝国傘下の自治領)のエリアに分かれており、その2つのエリアがそのまま帝国および同盟の陣営となっている。
しかし、その(航行ができない)宙域であっても安全なルートが2つだけある。1つは「フェザーン回廊」であり、もう1つは「イゼルローン回廊」である。ただし、フェザーン回廊には、第3勢力である(帝国傘下の)商業国家「フェザーン自治領」が主権を持っている。そして、この存在自体が物語にとって重要であり特徴と言える。詳しくは後述するが、フェザーン自治領は銀河英雄伝説の世界観において、囲碁の用語で「まぎれ」のような存在となっている。
フェザーン自治領は、帝国の属領でありながら特別に自治権が認められた国家に準ずる存在だ。ここは非武装中立の政治的中立地帯であり、軍艦など軍事力を行使できるものは航行できず、貿易などを目的とする民間の宇宙船だけが航行できる規則になっている。
そのため、帝国と同盟の両陣営が衝突する場所は、自然と残された「イゼルローン回廊」とその周辺になる。衝突は、長い期間にらみ合っていることもあり、両陣営の戦力規模により小競り合いで済むこともあれば、大規模な会戦に発展するなどさまざまなパターンがある。