「ドコモビジネス」で法人向け事業の拡大を推進–NTT Comの小島社長が表明
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NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は10月10日、年次イベントの「docomo business Forum’24」を開催した。基調講演では、代表取締役社長の小島克重氏が、NTTドコモグループ体制における同社の取り組みなどを説明した。
NTT Comは、2022年にNTTドコモおよびNTTコムウェアと「ドコモグループ」を形成し、グループ内で同社は法人向けビジネスを担当する。法人ビジネスブランドを「docomo business(ドコモビジネス)」としている。
小島氏は、1999年のNTT再編直後における同社の事業構造では約9割が音声/ネットワーク、9%がソリューションだったものの、2023年度には音声/ネットワークが41%、ソリューションが55%になったとし、20年以上の歴史でネットワーク企業からソリューション/DXを提供する企業へ変革したと述べる。なお、ドコモグループ全体としては、ネットワーク/音声が30%、モバイルが25%、ソリューションが41%となっている。
また、ドコモビジネスのリソースとして、NTT Comグループの従業員が約1万7200人、国内事業拠点が54カ所、海外拠点がNTT DATA Inc(NTTデータグループの海外事業会社)との連携を含め70以上の国・地域、先端研究開発などの担当者がNTT持株会社を含め約2800人に上る。顧客数は約65万社、ドコモデータ基盤会員数は約1億件と説明した。
今後の取り組みにおいて同社は、「驚きと感動のDX」をキーワードに設定し、「顧客の期待に応え、期待を超えるDXを提供する。通信ネットワークに限らずあらゆるものをつなぐことにより、豊かな日常の創出、経済の安定成長、安心・安全な社会、持続可能な社会の実現に貢献していきたい」(小島氏)とする。これまでに培ったソリューション力やDX実績をベースに、顧客への提供価値として(1)先端テクノロジーの採用、(2)データ活用、(3)戦略的協業・提携の3つが重要な要素になるとした。
具体的に(1)では、NTTが開発する大規模言語モデル「tsuzumi」を同社が商用提供するほか、液冷方式を標準としたデータセンターサービス「Green Nexcenter」を2024年度中に国内で初めて提供する。また、次世代通信基盤「IOWN」の社会実装も推進していく。ここでは、IOWNにより複数のデータセンター間でGPUワークロードを高速に分散実行する実証に世界で初めて成功した。
(2)では、同社が強みとする多様なデータの収集と安全な保管、流通を生かし、新たな価値創出を推進していく。例えば、プロ野球の埼玉西武ライオンズとは、試合来場者の会員データとドコモグループのデータを組み合わせて効果的な広告やイベントの展開につなげているという。
(3)では、さまざまなパートナーや顧客と共創する「OPEN HUB」を展開し、約900人のカタリストが中心となって、1000件以上の案件を創出。また、事業レベルでこれを推進すべく、各種業界を代表する企業との協業も広げていると説明した。
こうしたことを踏まえ小島氏は、同社の注力事業領域として(1)社会産業プラットフォーム、(2)地域創生、(3)中小企業のDX支援、(4)デジタルビジネスプロセスアウトソーシング、(5)生成AI&データ活用、(6)IoT、(7)ゼロトラストネットワーク&グリーンICT、(8)グリーントランスフォーメーション――の8つを示した。
(1)では、IOWNの技術を活用して産業や社会の課題解決を図る「HOKKAIDO IOWN CAMPUS」構想を発表し、先端半導体産業、IOWN産業、産学連携での学術機関の3つのクラスターを立ち上げた。(3)では「ドコモビジネスパッケージ」を提供し、例えば、物流でのドライバーの時間外労働の制約に対応する配車計画の自動作成ソリューションや、スマートフォンの内線電話利用による連絡効率化とコスト削減を図るソリューションを展開している。
(4)や(5)では、トランスコスモスと新たにtsuzumiを活用する次世代コンタクトセンターの開発に着手し、(7)ではクラウドセキュリティと多様なネットワークサービスをワンストップで提供する「docomo business RINK」を新たに開始する。ここでは、通信が急増するIoT向けにビジネスモデルの特許を取得したIoT機器へのセキュリティ対策機能を2025年度下期から提供することも明らかにした。
(6)では業種・業界に応じたソリューション、サービスをグローバルに提供していくとし、IoT関連事業で2027年度に2500億円規模のビジネスを実現したいと表明した。
基調講演後のメディアの共同取材に応じた小島氏は、2027年度に2500億円規模を目指すとしたIoT関連事業について、現状では通信回線を中心に数百億円規模と明かし、2027年度の目標達成に向けて回線管理やアプリケーションを加味していくと説明した。
また、社会産業プラットフォームなどの領域では、2023年度の計画事業規模1500億円に対して2000億円規模の実績を達成したとし、2024年度計画の2500億円も順調に実績を重ねていると強調。特にデータ基盤サービス「Smart Data Platform」では、従来の個社単位の利用が業界単位や企業間に拡大しているとし、さらには国際間連携などへの発展にも貢献していくなどと述べた。
ドコモグループは、2025年度に法人事業の売上高2兆円以上という目標を掲げる。小島氏は、基調講演で示した8つの注力事業領域全てで達成したいとし、特にIoTがNTTドコモとの連携で全体の成長をけん引すると期待感を示したほか、デジタルビジネスプロセスアウトソーシングもトランスコスモスの協業発表後に顧客から引き合いが急増しているといい、「この分野(顧客体験)で多くの課題を抱えるお客さまが多いと分かった」と話した。