日本企業のDXを「クラウドERP」で支援したい–ワークデイ日本法人の古市社長
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人事管理を中心とした「クラウドERP」でこれまで成長を遂げてきたWorkday。だが、この市場は激戦区だ。これから同社が一層存在感を高めていくためのポイントは何か。同社日本法人社長の古市力氏に聞いた。
Workdayは、人事管理(Human Capital Management=HCM)および財務管理(Financial Management)などのエンタープライズアプリケーションをクラウドサービスで提供し、年間売上高73億ドル(2024年1月期)、従業員数1万9900人、グローバルの顧客数1万500社超の実績を持つソフトウェアベンダーだ。エンタープライズアプリケーションの売上規模では、Oracle、SAP、Salesforceに次ぐ存在感だ。中でもクラウドERP(Enterprise Resource Planning=統合基幹業務)という観点では、Gartnerの調査によると、グローバルでシェアトップの座にある(図1)。
古市氏は、Workdayのビジネス状況について、「業績についてはグローバルも日本も好調に推移しており、日本の伸びはグローバルでもトップクラスにある。成長をけん引しているプロダクトはHCMで、グローバルでも日本でも売上高の8割以上を占めている」と説明した。
Workdayの強みはどこにあるのか。同社が2013年に日本法人を設立し、HCMを皮切りに日本市場へ進出して以来、「グローバルで利用できる使いやすいクラウドサービス」ということで、筆者も注目してきた。ERPは、今でこそオンプレミス分野でトップシェア争いを繰り広げてきたSAPやOracleもクラウド化に注力しているが、先行したWorkdayは先述したように今もグローバルでシェアトップを堅持している。
とはいえ、クラウドサービスとして先行しただけではシェアトップを維持し続けられないはずだ。どこがユーザーに受け入れられたのか。この点について、古市氏は次の2つを挙げた。
1つは、クラウドERPとしての機能の豊富さだ。図2が、その全体像である。
図2では、右側にHCM領域の機能、左側にファイナンス領域の機能が記されている。
もう1つは、これらの機能を単一のプラットフォームで統合管理できることだ(図3)。
この単一プラットフォームでは、クラウドネイティブなアーキテクチャーの基でデータモデルもセキュリティモデルも統一されている。同社は、これを「Workdayエンタープライズマネジメントクラウド」と名付けている。同社が提供する人事管理、財務管理、そして経営計画(Adaptive Planning)といった個々のサービスもさることながら、このWorkdayエンタープライズマネジメントクラウドこそが同社のクラウドERPの基盤であり、競合他社との差別化戦略の要となっている。
古市氏は、こうしたWorkdayの強みについて、「HCMをはじめとしたERPとして、(図2に示す)これだけの機能を1つのプラットフォームでデータを一元管理できるのは当社だけだと自負している。これによって、より確かな経営判断を迅速に行え、ビジネスと財務のシームレスな運用を実現し、従業員の能力を最大限に引き出すことができる」と力を込めた。