伝統的なSIとは異なる“SIビジネス”を目指す–IIJがサービスインテグレーション事業を力説
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有力IT企業のインターネットイニシアティブ(IIJ)が、サービスインテグレーション事業の開拓を加速させている。同社 取締役・専務執行役員 営業担当の北村公一氏によると、伝統的なシステムインテグレーション(SI)ビジネスが厳しさを増す中、同社は「サービスインテグレーション」を含めたストック型サービスで成長し、中期計画目標の年商5000億円への道を歩み始めているという。
IIJと現在の日鉄ソリューションズ(NSSOL)の2つのIT企業を経験した北村氏は「両社を比較すると、全くビジネスモデルが違う」と感じていると述べる。NSSOLは伝統的なSIビジネスに近い。つまり、ユーザーの「こんなアプリが欲しい」「こんなIT基盤が欲しい」といった要件に対して複数のシステムインテグレーター(SIer)が見積もりを含めた提案をし、1社が受注・構築する。ユーザー企業ごとに仕様が異なる固有のアプリやIT基盤を構築するため、例えばERPを導入しても、多くのカスタマイズが発生する。また、24時間稼働の堅固なシステムにしなければならないなど、1件当たりの規模は大きい。
一方、1992年に設立したIIJはインターネットという技術をベースに、どのようにインターネットに接続し、スムーズにデータを交換させるか。また、ネットワークが遅くならないようにどのように負荷分散させるかなど、ネットワークに必要な技術を駆使したビジネスを展開する。別の言い方をすれば、「こんなサービスを使ったら便利になる」と、複数のサービスを組み合わせて月額ベースで提供する。そのようなサービスを次々に自社開発し、その数は数百にも上る。現在は約1万5000社がユーザーとして利用し、1社当たりの月額使用料はそれほど大きなものではないという。北村氏は「デマンドから入るSIerとは大きく異なるビジネスになる」と強調する。
とはいえ、「世の中は、この2軸だけではなくなっている」と同氏。背景の1つには、ネットワークとスマートフォンの急速な普及によって高性能なエッジが安価に手に入るようになったこと。もう1つは、グローバルサプライヤーのGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)などが現れたことが挙げられる。共通の業務はSaaSを利用するようになり、そこでもグローバルなデリバリーを展開するSAPやSalesforce、ServiceNowが日本でも勢力を増す。
ITインフラもメインフレームのオンプレミスからプライベートクラウド、そしてAmazon Web Services(AWS)などパブリッククラウドの活用へと変革が進む。ここでもグローバルプレイヤーの供給力にはすさまじいものがあり、依頼すれば明日にもインフラを構築し、強力なバックアップの仕組みを実現する。このような中で要求を聞き、提案、受注する地産地消のSIerはどのように生きるのか。北村氏は「既存のSIerもわれわれの脅威だ」と語る。