PTC、車載ソフト開発向け生成AIを発表–「製造業の諸課題解決に注力」とCEO
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米PTCと日本法人のPTCジャパンは12月5日、同社ビジネスに関するメディア向け説明会を開き、自動車用ソフトウェア開発向けの生成AI機能「Codebeamer Copilot」を発表した。会見した最高経営責任者(CEO)のNeil Barua氏は、「製造業のお客さまが抱えるさまざまな課題の解決に注力する」と述べた。
Codebeamer Copilotは、同社のアプリケーションライフサイクル管理(ALM)ソリューション「Codebeamer」をベースとして、Microsoftの生成AI基盤「Copilot」を組み合わせている。2025年第1四半期にまずベータ版の提供を開始する予定で、コード資産の再利用などソフトウェアの開発やテスト、検証、リリースの一連において自動化、効率化、迅速化、生産性向上などを支援するという。
開発に当たっては、Codebeamerを2022年から導入しているVolkswagenグループが協力。Volkswagenグループでの自動車用ソフトウェア開発ノウハウを学習したモデルとCopilotによるソリューションを同グループに提供する。生成AI機能自体は、CodebeamerとCopilotの組み合わせになるが、生成を行うためのモデルは、ユーザーの自動車メーカーごとに専用とする。また、データやモデルへのアクセス制御といった点も自動車メーカーごとに行えるようにし、セキュリティや情報の機密性を担保している。
Barua氏は、「Volkswagenグループは、既に9000ユーザーがCodebeamerを活用しており、生成AI機能が無い状態でも同社の生産性向上に貢献しているが、生成AIが加わることで、さらなる貢献ができると考えている」とコメント。自動車業界では、ソフトウェア定義の自動車(SDV)や電気自動車(EV)などの開発においてソフトウェアの重要性が高い一方で、その複雑性への対応、生産性向上、業界標準や規制への準拠などを実現しなければならないという。同氏は、「Codebeamerがソフトウェアの効率的な開発と品質の担保、サプライチェーンにおけるトレーサビリティーの確保に貢献する」とアピールした。
Barua氏は、PTCが2023年に買収したServiceMaxでCEOを務め、買収後はサービスマネジメント領域を統括。2023年7月にCEO就任が発表され、2024年2月に着任した。直近の実績としては、売上高が過去最高の20億ドル、時価総額が約240億ドル、顧客数が3万社以上となった。
同氏は、製造業の顧客に共通する課題に、製品開発の複雑化、短期化、高品質化を挙げ、特にソフトウェア活用が戦略的に重要な要素だと指摘する。AIや生成AIがその最たる例で、同氏は、今回発表したCodebeamer Copilotとともに、AI活用で必須のデータ基盤の構築や整備においても同社が顧客を強力に支援できると説明した。
PTCのソリューションは、製品ライフサイクル管理(PLM)、ALM、サービスライフサイクル管理(SLM)、コンピューター支援設計(CAD)、IoTアプリケーション開発プラットフォームなど多岐に渡る。Barua氏は、「われわれのソリューションには、少子高齢化や労働人口減少に直面している日本のお客さまからも評価をいただいている。また、その活用を担う人材の育成にも取り組んでいる」と述べる。
日本に対しては、「われわれのビジネスにとって直近の1年間でも最も伸びているのが日本市場だ。お客さまはDXの重要性を強く意識され、われわれをパートナーとして信頼し、選んでいただいている。日本市場のトレンドはグローバルのビジネスおいても重要であり、これからも日本で優秀な人材の獲得や日本に向けた製品・サービスへの投資をしっかりと続けていく」と表明した。
また、PTCジャパンのビジネスを社長執行役員の神谷知信氏が説明。同氏は、日本では設計開発の領域での独自開発ソフトウェアの利用がまだ多く、3次元(3D)CADなどのパッケージソフトウェアの活用が鍵になると指摘する。さらに、3Dの製品データを製造や保守の領域でも活用し、そこで得られるデータを再び設計開発に反映していくという「デジタルスレッド戦略」を展開していることを強調した。
特に、直近ではソフトウェア資産の再利用や、コードやライブラリーといったソフトウェアにおける“部品”の共通化が顧客の課題だという。同氏はこれら課題の解決に、デジタルスレッド戦略に基づく同社のソフトウェアやSaaSのソリューションが貢献すると述べる。
複雑化する顧客課題への対応では、国内パートナーエコシステムの拡充、ソフトウェアソリューションの展開と推進、マーケティングによる市場での認知拡大に臨んでいるとした。