イオンリテールやヤマト運輸も利用–バーコードスキャンで成長支えるScandit

今回は「イオンリテールやヤマト運輸も利用–バーコードスキャンで成長支えるScandit」についてご紹介します。

関連ワード (マーケティング、流通テック最前線等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 2009年にスイスで創業したScandit(スキャンディット)は、小売や物流などの業界を対象に、バーコードスキャンエンジンを提供する企業。世界8カ国にオフィスを構え、仏Carrefour(カルフール)や独DHLなど、全世界で2000社以上が導入している。日本市場には2020年に参入し、顧客企業にはイオンリテールやヤマト運輸などが名を連ねる。

 顧客/パートナー向けイベント「Scandit EMPOWER JAPAN 2025」の開催に当たり来日した共同創設者で最高技術責任者(CTO) 兼 プロダクト担当バイスプレジデントのChristian Floerkemeier(クリスチャン・フローケマイヤー)氏に、新製品の機能や同社の展望を聞いた。

 同社は、スマートフォンなどのデバイスを活用してバーコードやIDなどのデータを読み取る技術「Scandit Smart Data Capture」を展開。主な技術として、破損したバーコードや暗い場所などの悪条件でも正確にバーコードを読み取る「シングルスキャン」、複数のバーコードを一括して読み取る「複数一括スキャン」、拡張現実(AR)で商品の在庫数や入荷日などの追加情報をデバイスの読み取り画面に表示する「AR機能」、スマートフォンをパスポートにかざすと情報を自動入力する「パスポートスキャン」がある(図1)。

 Smart Data Captureの用途は多岐にわたり、店舗の品出しや棚卸し、配送の荷積み/荷降ろしに加え、スマートフォンを用いた商品バーコードのセルフスキャンや、ECで注文した商品の店舗受け渡しなど、セルフレジやオムニチャネルの普及に伴うものもある。

 スーパーマーケット「イオン」を展開するイオンリテールは、バーコードスキャンソフトウェア「Scandit Barcode Scanner SDK」を導入し、セルフスキャンアプリ「レジゴー」を実現。来店客は同アプリをダウンロードした自身のスマートフォン、あるいは店内の貸出用スマートフォンで商品のバーコードをスキャンし、専用のセルフレジで決済する。Scanditの読み取り技術と楽しさを演出する買い物体験により、過去に導入したセルフスキャンシステムと比較して利用率が30%向上したほか、購入商品点数の増加に伴い、店舗売り上げも5%アップした。

 ヤマト運輸もBarcode Scanner SDKを導入。配送パートナーが荷物の持ち出し/受け渡しを行う際に送り状のバーコードを読み取るアプリ「Delivery App」と、二次元コードを読み取って各拠点における輸送トラックの入出管理を行うアプリ「ネコーレ」に活用している。Delivery Appでは、薄い印字や夜間などの悪条件下でもバーコードを正確にスキャンでき、1人当たり1日約300回に上るスキャン業務を効率化することが可能となった。

 業界を取り巻く社会課題もScandit製品の導入を後押ししている。例えば、単発の仕事を請け負う「スポットワーカー」の雇用が進む中、小売業界では業務の簡素化が求められている。物流業界では、トラックドライバーの時間外労働の制限に伴う「2024年問題」を受けて、業務効率化が叫ばれている。

 在庫管理の自動化では、複数タグの一括読み取りが可能なRFID(Radio Frequency Identification)の活用も進んでいる。しかしScanditによると、同技術は管理コストや扱いやすさに課題があるほか、製品の素材や環境に影響を受けやすいため、依然としてバーコードスキャンが最適な場合も存在するという。

 Scandit製品による業務の効率化は、どのように実現しているのか。同社のSmart Data Captureは、バーコードやIDの読み取り製品や業界別ソリューションで構成され、各製品は「Scandit AIエンジン」上で構築されている。Scanditは導入前の投資利益率(ROI)検証や生産性向上に向けたコンサルティングも行い、日本ではスキャンディットの「エンタープライズ・サクセスチーム」が同業務を担っている(図2)。

 Scandit製品は、スマートフォンやタブレットのほか、さまざまなデバイスに対応。Floerkemeier氏は「一部の顧客は近年、固定カメラやドローン、ロボットで物理世界を捉えた上で、モバイルデバイスで業務タスクをこなしている」と説明し、「将来的には、スマートグラスへの対応も計画しており、ユーザーは両手が空いた状態で業務に集中できる」と展望を述べた。

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