エッジコンピューティングに注力するデルの取り組み

今回は「エッジコンピューティングに注力するデルの取り組み」についてご紹介します。

関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 デル・テクノロジーズは6月9日、都内本社でエッジコンピューティングをテーマにした報道機関向けの勉強会を開催し、エッジコンピューティングの概念や用途、効果、同社の取り組みなどを説明した。

 同社は、成長領域としてエッジ、5G、データ管理、AI/機械学習、セキュリティ、クラウドを位置づけている。その1つとなるエッジコンピューティングについて取り組みを説明したストレージ プラットフォーム ソリューション事業部 販売推進部長の羽鳥正明氏は、「社会にさまざまな価値を創出するもので、既に変革をもたらし始めていると感じる」と話す。

 エッジコンピューティングは、現在主流のクラウドコンピューティングを補完したり、エッジコンピューティングそのもので新たな価値を創出したりする新しい情報処理の概念になる。端的にクラウドコンピューティングは、さまざまな場所(現場)で生成されるデータをネットワーク経由でデータセンターに集約し、データセンターで一元的に情報処理を実行し、その成果をさまざまに還元する。しかし、データ量や処理需要が増えるほどにネットワークやデータセンターがひっ迫してユーザーの要求への対応が遅れる(遅延)という問題を抱える。

 エッジコンピューティングの基本は、現場に近い場所にデータを集約して情報処理を実行し、その成果を現場に還元する。こうすることで、クラウドコンピューティングが抱える遅延の問題を改善することができ、クラウドコンピューティングのような中央集約型の情報処理を必要としない需要にも対応することができる。羽鳥氏によると、現場とデータセンターの遅延時間はおおむね50~300ミリ秒が現状で、同社は25ミリ秒以下となる情報処理の環境をエッジコンピューティングと定義しているそうだ。

 エッジコンピューティングの用途は非常に多岐にわたり、現在は約6割をエネルギー、小売、製造、デジタル都市(スマートシティー)が占めるという。例えば、エネルギーでは再生可能エネルギー活用のためのデータ処理などがあり、製造では生産設備の稼働状態の把握と故障予測などの予防保全といった具体的な用途が増えてきている。スマートシティーは、幾多の用途が期待され今後具現化していくと見られる。小売は、購買行動分析や需要予測、物流改善、顧客への価値提案など既に多くの用途が具体化してきている。

 羽鳥氏は、「ビジネスはエッジで起こっていると言える」と指摘し、低遅延が要求されるシーン(同社の定義では25ミリ秒以下)において、エッジコンピューティングを検討する条件には、(1)データの強度、(2)データを洞察するタイミング、(3)制御動作、(4)データセキュリティ、(5)自律性――の5つがあるとした。

 (1)は利用シーンに資する確かな情報処理を実行できることであり、(2)データから洞察を獲得するタイミングになる。(3)は自動車やロボットなどのリアルタイムな制御を指す。(4)は現場とデータセンター間におけるデータ侵害などのリスクになり、(5)はデータセンターとの接続性が失われてもエッジ環境自体で自律的に実行処理が継続されることを意味する。

 同社は、遅延時間やデータ発生源からの距離に応じて、エッジコンピューティングをさらに細かく定義している。遅延2ミリ秒以下ないしデータ発生源から100メートル以下での情報処理を「Functionalエッジ」(単機能エッジ)、2~20ミリ秒以下ないし500メートル~5キロ程度を「Farエッジ」、10~25ミリ秒以下ないし5~20キロ程度を「Nearエッジ」とし、それ以上はオンプレミスデータセンター/プライベートクラウド(遅延20~60ミリ秒程度ないし50~1000キロ)、パブリッククラウド(50ミリ秒以上ないし500キロ以上)になる。

 Functionalエッジは、機能が絞られる一方、データ発生源自体あるいはごく至近で情報処理やリアルタイム制御を行う環境になる。Farエッジは、複数のデータ発生源やFunctionalエッジの環境を対象にした情報処理や制御のための環境で、例えば映像監視や複数店舗からの販売データ収集などがあるという。Farエッジは、例えば、工場群などに近い場所での情報処理や生産設備の監視・制御といった用途のための環境となる。

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