AWSジャパン、生成AIのビジネス活用を後押し–中堅・中小企業向け事業戦略

今回は「AWSジャパン、生成AIのビジネス活用を後押し–中堅・中小企業向け事業戦略」についてご紹介します。

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は7月18日、中堅・中小企業向け事業戦略に関する説明会を開催した。2024年における中堅・中小企業のビジネス成長支援策の説明と、生成AI基盤「Amazon Bedrock」を活用するやさしい手が登壇し、事例の紹介を行った。

 AWSジャパンはこれまで、中堅・中小企業のDXを支援するために人材育成の強化や最新テクノロジーの提供、経営層向けのカルチャー改革支援、パートナー連携の強化などを行ってきた。また、2023年7月には、中堅・中小企業向けのクラウド移行支援パッケージ「ITX(ITトランスフォーメーション) Lite」を発表し、中堅・中小企業が抱える、IT人材不足や社内の経験、資金不足などの課題の解消に取り組んでいる。

 AWSジャパン 執行役員 広域事業統括本部 統括本部長の原田洋次氏は、「2024年は、生成AIによる経営課題解決と、AWSパートナーとの連携を目玉に、戦略を強化していきたいと考えている」と述べる。

 帝国データバンクの「生成AIの活用に関する企業アンケート」によると、中堅・中小企業の61%が生成AIを活用、もしくは検討しているという。同氏は、「生成AIは、事業運営の在り方から働き方まで、仕事を変革するゲームチェンジャーになり得る」と話し、生成AIを業務に取り入れる動きは速く、大きくなっていると指摘する。

 一方、「お客さまは、人材、特にAI人材がマーケットにいない、(AIに関する)知識や経験が社内に不足している、クラウド移行への資金不足、経営者の意識としてどのように生成AIを自社の中で活用するかという課題を抱えている」という。同社は、それらの課題解決に向けた戦略に大きく軸を置いている。

 また、AWSパートナーとの連携を強化することで、顧客の課題発見から寄り添い、課題解決を担うとしている。同氏は「当社の強みとしては、47都道府県全てをカバーしているパートナーと共に活動しており、当社としても全ての都道府県をカバーできる体制を整えている」といい、地域ごとに特性のあるパートナーと共に地元企業のニーズをくんだ支援ができると説明した。

 原田氏は、「中堅・中小企業向けに生成AIに注力し、全国のパートナーと共に顧客をサポートしていく」とした上で、「生成AIを活用してビジネス課題の解決や、新たなビジネス価値を生み出すことが重要だ」という。効率化や生産性向上だけでなく、生成AI活用によって生み出されたリソースをほかの業務に振り分けたり、新サービスを作ったりすることが、新たなビジネス価値を生むチャンスになるのではないかと説明した。

 在宅介護を中心にサービスを展開するやさしい手では、利用者の個別最適化や従業員の生産性向上に向けてAmazon Bedorockを活用している。

 同社では、情報開示システム「ひつじ」を開発し、利用者と従業員を情報レベルでつなぎ、アカウンタビリティーを担保しながら高度な個別支援を目指している。同システムには介護記録などの利用者に関するデータを蓄積しており、今後はこれらのデータから利用者の変化や潜在ニーズを的確に捉えることで個別最適化されたサービスを提供していくという。

 同社 代表取締役社長執行役員の香取幹氏は「よりパーソナライズされたサービスの実現には、情報の可視化や精緻化の仕組みが必要になる。そこで当社は、BI(ビジネスインテリジェンス)やAIの活用を検討してきた」と説明する。

 同社では、利用者の情報の精緻化施策として、介護業務にまつわる膨大な文書処理の自動化で生成AIを活用しているという。具体的には、クラウドストレージサービス「Amazon S3」やデータウェアハウス「Amazon Redshift」、BIツールの「Amazon QuickSight」で構築したデータ基盤から、Amazon Bedrockを活用してプロンプトで情報粒度とアウトプットイメージを制御する。Amazon Bedrockを用いることで、1カ月当たり6万字の介護記録を、利用者の家族や医師、ケアマネージャーが読みやすい報告業務の自動化を実現しているという。

 そのほかにも、Amazon Bedrockを活用して、介護記録データから個別作業手順の生成や自動更新を行ったり、ケアマネージャーと利用者の会話音声から標準項目に沿ったケアプランの作成をしたりしている。

 香取氏は、AWSジャパンが提供する生成AI検証サービス「Generative AI Use Cases JP」を活用し、生成AIの業務利用において容易に概念実証(PoC)できる点がAmazon Bedrockを採用した一つの理由だという。また、これまで利用されていなかったデータを価値あるデータとして経営資源にできる点や、経営課題に寄り添った支援体制が整っている点も採用理由だと説明した。

 今後、同社ではひつじに検索拡張生成(RAG)を活用することで、利用者のパーソナルな質問や指示事項に適切かつ即時に回答できるようにするとしている。利用者の付加価値向上と従業員の生産性向上に向けて、生成AIのさらなる活用と開発を継続していくという。

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