FRONTEO、建設や製造でのリスクを予測するAIを発表–事故記録からモデル作成
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FRONTEOは2月17日、医療領域で活用中の人工知能(AI)エンジン「Concept Encoder」を建設や製造の現場で活用する「WordSonar for AccidentView」(WordSonar)を発表した。日報に記録した事故情報を教師データとしてモデルを作成し、しきい値などを用いて現場の作業員に通知する。
同社取締役 AIソリューション事業統括 山本麻理氏は「医療現場で実績がある転倒・転落予測を用いれば、事故を半分でも3分の1でも削減できる。社会的意義が大きい」と主張した。利用料金は登録データ量や利用範囲によって異なり、個別見積もりとなる。
2018年に誕生したConcept Encoderはテキストデータを学習教師としたAIエンジン。医療領域であれば、医学論文や医学・医療情報を解析して、診断や創薬を支援する。山本氏は以下のようにWordSonarの開発理由を説明した。
「(2012年に誕生した前身AIのKIBITから数えて)この10年間、一貫しているのは電子カルテや医療記録、患者との会話など非構造化データの解析。これは建設現場も同様だ。安全に関する記録や作業日報、過去の事故情報が膨大な文書を活用すれば、医療現場の課題同様に(建設・製造現場の課題を)改善できる」
すでに医療現場で活用中の転倒転落予測システム「Coroban(コロバン)」は、日々の看護記録をデータとして読み込ませて解析し、患者が転倒・転落する可能性を7日前に予測できるという。先のデータを薬剤や意識確認、感覚など9項目に自動分類し、その結果をスコアリング&スパイダーグラフ化。転倒・転落リスクの変化を数値化し、しきい値を超えると警告を発する仕組みだ。
看護師の看護過程情報による判断とAI判定を比較すると数値は向上するとしている。入院患者がアラートを鳴らす発報率100%はCoroban導入後に59%まで低下させているという。
同社ライフサイエンスAI 最高技術責任者(CTO) 兼 ニューロ言語科学研究所 所長 豊柴博義氏は「転倒・転落の補足率は変化していないが、看護師の負担は軽減する。(事故を防ぐ)抑制実施率は13.5%から6.2%へ、転倒発生率も3.2%から2.1%へ低下。骨折を伴う転倒・転落は0.05%から0%に変化」と説明する。
WordSonarは工事現場から上がってきた報告や建設現場情報、過去の事故情報などをデータ化し、建設業や製造業の事故発生抑制を目的としている。たとえば「雨の中のクレーン作業」を検索すると、過去の事故情報を検出。安全管理責任者はAI判断の可否を取捨選択して、検索精度を向上させる。
Coroban同様に収集した情報をもとにしたリスクを予測し、提示されたデータは現場の責任者と情報を共有。現場の担当者は作業中にPC利用が難しいため、スマートフォンに注意喚起を促すメッセージを送信する仕組みを想定している。
豊柴氏は「数日後に起こりうるリスク予測で対策を講じやすい。検索も自然文が利用できる。また、非常に軽い」とWordSonarの特徴を列挙した。予測精度についても「任意の作業が連続すれば関連する事故、猛暑日が続けば熱中症や体調不良を警告する。予測範囲は3日前まで可能」(豊柴氏)だと主張している。