バイデン大統領、半導体の国内生産を促進する法案の成立を求める–一般教書演説
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Joe Biden米大統領は米国時間3月1日に行った一般教書演説の中で、連邦議会に対し、いわゆる「CHIPS法」に資金を提供するための法律の早期成立を求めた。この法律が成立すれば、米国内での半導体製造を促進するために設けられた520億ドル(約5兆7000億円)の補助金を半導体企業に提供することができる。
Biden氏は演説で、Intelの最高経営責任者(CEO)、Pat Gelsinger氏を称賛した。同氏は1月に、200億ドルを投じてオハイオ州コロンバスに2つの半導体工場を新設することを発表している。Intelは今後10年で1000億ドルを投じてオハイオ州に「メガファブ」を構築し、最終的に8つの半導体工場を建設する計画だが、Gelsinger氏は、投資のスピードは米国政府の補助金次第で変わるとしている。
「今夜ここに来ているIntelのCEO、Pat Gelsinger氏は、投資を200億ドルから1000億ドルに増額する用意があると話してくれた。製造業における米国史上最大級の投資になる」とBiden氏は述べた。「そのために、彼らはみなさんが法案を通すのを待っているのだ。(中略)私のデスクに届けてほしい。私は署名する」
上院はCHIPS法に資金を提供するための法案を2021年に可決し、下院も2月に同様の法案を通過させた。だが、両院の法案の相違点が両院協議会でいまだ解消されていないことから、一部では超党派の支持があるものの、補助金の交付には至っていない。この補助金は、台湾と韓国の政府支援に米国が対抗する一助になるものだ。両国には半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)とサムスンが多くの製造施設を置いている。米国政府による補助金があれば、製造施設の新設にかかる100億ドルのうち約30億ドルが相殺されることになり、アジアの諸国と同水準の補助金が得られるとIntelは述べている。
半導体メーカーと米国の政治家は、国内での半導体の生産を増やすことで、米国のモノづくりの力を復活させたいと考えている。世界の半導体製造における米国のシェアは、1990年の37%から現在は12%にまで落ち込んでいる。また、プロセッサーが欠かせない分野は、携帯端末やインターネット企業、PCを超えて広がっている。
世界的な半導体不足によって、自動車からソニーの「PlayStation」まであらゆるものが消費者の手に入りにくくなり、インフレにつながる価格上昇が起こっている。こうした状況は、新たな半導体製造の取り組みに補助金を提供するよう政治家を説得する上で大きな追い風だ。
だが、Intelがオハイオ州に建設する新たな半導体工場が稼働するのは、2025年以降となる。また、巨額の補助金を提供したからといって、それだけでアジアの製造能力と肩を並べることが可能になるわけではない。Boston Consulting Groupsの試算によれば、自給可能な半導体サプライチェーンを世界規模で構築するには、9000億~1兆2300億ドル(約104兆~142兆円)の支出が必要になる。その範囲を米国内に限った場合でも、3500億~4200億(約40兆~49兆円)ドルが必要だ。