DXの「ビジョン」と「戦略」を策定–DXジャーニーの目指すべき行き先を示す
今回は「DXの「ビジョン」と「戦略」を策定–DXジャーニーの目指すべき行き先を示す」についてご紹介します。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)の始動段階で課題認識の次に行うべきことが「ビジョン」と「戦略」の策定です。全社一丸となってDXジャーニーを歩んでいくためには、明確なビジョンと戦略が必要となります。どのように策定すればいいのでしょうか。
前回の記事「DXに着手する際に必要となる課題認識の共有」では、DXジャーニーの最初のステップとして重要な課題認識とその共有について述べました。これに続いて、今回はDXビジョンとDX戦略の策定について、どのように策定するか考えていきます(図1)。
DX推進は関係者が多く、利害関係も複雑となるため、目標とする行き先を見失いがちとなります。「概念実証(PoC)を多数実施しているが、一向に本番化できない」「デジタル化の施策に事業部門の協力が得られない」「先進技術の導入が目的化して、なぜそれが必要なのかに目が向いていない」といった問題は、DXビジョンの不在、または全社への浸透が不十分であることに起因しているといえます。
企業が全社一丸となってDXジャーニーを歩んでいくためには、明確なビジョンと戦略が必要となります。DXのビジョンとは、「なぜ、自社にとってDXやデジタル化が必要なのか(Why)」と「DXによってどのような姿を目指すのか(Where)」を示すものです(図2)。具体的には、目指すべき企業像、将来の事業ポートフォリオ、実現したい組織カルチャーなどを提示します。
また、DX戦略はビジョンを実現するために「誰がどのような体制(Who)」で、「何を施策として実行するのか(What)」を明確に示すもので、組織体制、役割、柱となる施策の方向性を提示するものでなければなりません。
人工知能(AI)技術を試験的に導入したり、アイデアワークショップを開催したりするのですが、一向に本番化できないといった例も少なくありません。WhyとWhereが明確でないまま実践施策を推進しても、必ず行き詰まったり、活動が停滞したりし、結局はWhyとWhereの議論に後戻りすることになるでしょう。DXのビジョン/戦略の策定は、DXの始動段階で必ず通らなければ何らない経由地といえます。