仕事の未来–仕事場、勤務時間、従業員の意識の変化

今回は「仕事の未来–仕事場、勤務時間、従業員の意識の変化」についてご紹介します。

関連ワード (働き方の新たなルール、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 仕事の未来が、オフィスと自宅の両方で話題になることが増えている。企業が従業員主導の新しい働き方に合わせて職場のポリシーを変更し、従業員がそれに満足できるかどうかを見極める中で、かつて「壮大なリモートワーク実験」だったものが、「壮大なハイブリッドワーク実験」に、さらには「大量退職時代」へと変化していった。

 1万700人以上のナレッジワーカーを対象とした2022年1月の「Future Forum Pulse Survey」によると、リモートワークとオフィス勤務日を組み合わせたハイブリッドワークが主要な働き方になったという。

 この調査では、ハイブリッドワーク制度が2021年5月から11月の間に46%から58%へと12ポイント増加したことが明らかになった。回答者の半数が会社に柔軟な勤務時間を認められていると答えており、勤務場所を柔軟に選べるという回答は42%だった。従業員が新しい働き方になじむにつれて、従業員体験のスコアも上昇しているようだ。Future Forum調査では、ハイブリッドワークやリモートワークをしている従業員の方が、フルタイムのオフィス勤務を求められている従業員よりも、ワークライフバランス、ストレス、仕事の満足度に関するスコアが高かった。

 ここで考えさせられるのが、仕事の未来を取り巻く最も顕著な問題といえるもの、すなわちオフィスの役割だ。オフィスはかつてデスクワークに従事する従業員が午前9時から午後5時まで過ごさなければならない場所だったが、現在ではもう、ビジネスの世界の中心地であると広く考えられているわけではない。特にテクノロジー業界内では、その傾向が顕著だ。

 英国国家統計局(ONS)が2021年6月に実施した調査では、従業員の75%以上が将来も「通常の勤務場所」、すなわちオフィスで働くと考えている情報通信業界の企業は、わずか15%だった。これに対し、宿泊および飲食サービス業界は49%、全業界ではほぼ5社に2社(38%)だ。

 リモートワークが定着すると考える人の割合が最も多いのがIT人材とナレッジワーカーであることは、あまり意外ではない。ナレッジワーカーは、コンピューターとブロードバンド接続さえあれば職務をこなせる場合があるため、自宅でも簡単に対応できる仕事を、別の場所に通勤してやることにほとんど価値を見いだせない。

 さらに興味深いのは、これが企業の不動産投資に及ぼす影響だ。企業は(大手テクノロジー企業は特に)、優秀な人材を引きつけて、自社のブランド、価値観、企業アイデンティティーの物理的な象徴として利用するために、空想的な外観の社屋の建設に莫大な資金を注ぎ込んでいる。リモートワークやハイブリッドワークを好む従業員が増えたことで、最高財務責任者(CFO)たちは、こうした投資から今後も利益を得られるかどうか不安になるだろう。

 確かに、主要なテクノロジーハブでは、テクノロジー企業が人材探しの範囲を大都市圏以外に拡大することに改めて関心を持つようになったため、物理オフィススペースに対する需要が弱まる可能性がある。

 ニューヨーク州会計監査官事務所のデータによると、リモートワークへの移行が起きた2020年以来、オフィス賃貸活動は回復しているが、ニューヨーク市のオフィスビルの時価総額は2022会計年度に286億ドル下落し、20年以上ぶりに減少したという。主な原因は、需要の減少によってオフィスビルに空きが出て、賃貸価格が下がったことだ。

 「新しい長期的なリモートワーク制度によって、オフィススペースの未来に関する疑問が提起された。企業は、従業員の好みの変化と長期のリモートワークの実現可能性を考慮しながら、共有オフィススペースの使い方を評価しているところだ」。同レポートにはこう記されている。

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