DXの要である自動化–ビジネス部門も率先して取り組めるようになるには
今回は「DXの要である自動化–ビジネス部門も率先して取り組めるようになるには」についてご紹介します。
関連ワード (経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「世の中に溢れるSoftware as a Service(SaaS)について、こう感じることがよくあります。業務の課題に対処する特効薬のようなSaaSにも処方箋薬と同じように副作用についての注意書きが必要なのではないかと」。こう述べるのは、Workatoの共同創業者で製品責任者のGautham Viswanathanです。使ってみれば便利で効果的に業務改善をしてくれるSaaSアプリケーションですが、大量に利用することによる業務の複雑化や、ばらばらのSaaSを使うことによる部署間の分断化をもたらします。そのような問題を副作用という例えで表現したのです。
「新しいアプリケーションが増えるたびに、データのサイロ化は進みます。顧客データや従業員データ、製品データといった全てのデータが、以前よりも多くのアプリケーションに分散されます。ビジネスプロセス、つまり仕事を完了するための協力体制がますます分断されていくのです」
Asanaが発表した2021年版「Anatomy of Work Index」によると、現代の労働者は1日に10個のアプリケーションを25回切り替えて仕事をこなしているといいます。SaaSアプリケーションは私たちの働き方を変え、過去10年間の企業の急成長を支えてきましたが、アプリケーションが普及したことで、データのサイロ化やワークフローの複雑化という弊害も生まれているのが事実です。
「多すぎるツール」問題の解決策として、インテグレーション(統合)とオートメーション(自動化)の手法が長い間用いられてきました。しかし、これらを構築するために必要とされる技術的ノウハウの多さ・多様さ故に障壁が高くなり、大多数のビジネスユーザーにとってツールを自ら管理することは困難になります。そのため、ITやビジネステクノロジー(BT)などの部署や担当者がインテグレーションの構築、トラブルシューティング、保守の負荷を過剰に担うことになってしまいます。
Viswanathanは次のように述べています。「企業や組織の中で、一体誰がインテグレーションやオートメーションのITシステムを業務効率化のために構築できると思いますか。これらのツールの多くはIT知識のあるスペシャリストをターゲットに作られているのです」。ビジネス全体で自動化できる可能性のあるプロセスは何千とある一方で、99%ものプロセスがまだ自動化されていないとViswanathanは指摘しています。その理由は、「十分なITキャパシティーがなく、中央集権的なITデリバリーモデルが全く機能しない」からだと述べます。要するに、自動化のツールはあっても、利用するに当たりITスキルを必要とするため、リソースが足らず活用しきれていないのが現状だということです。
では、実際にオートメーションやインテグレーションを進めるに当たって、必要なのはIT知識のある人材を十分に確保することなのでしょうか。実は、オートメーションなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進において、本当に必要なのは技術的にそれを可能にするITスキルだけでなく、社内ツールをどう統合・自動化すべきなのか、どこからDXを推進すればビジネスインパクトを与えられるのかを理解・定義できるビジネススキルも必要なのです。では、ビジネススキルのある事業部のユーザーもITの知識をつけなければいけないのか、と言われるとそうではなく、重要なのはIT知識がないユーザーでも自動化に取り組めるツールが必要ということになります。
Viswanathanは、IT知識のないビジネスユーザーの手で自動化を管理できる、ローコード/ノーコードなどのプラットフォームがキーになると話します。既に、米国の企業のユーザーとしてCheckr、Fundbox、Confluent、GR Technology Consultingが業務の自動化ツールとしてWorkatoを採用しています。
Checkrのコーポレートエンジニアリング担当兼バイスプレジデントであるSridevi Pasumarthi氏は、Slack、Arlo、そして現職のCheckrで、長年企業の技術スタックをサポートしてきた経験があります。Pasumarthi氏が在籍していた頃のSlackは超成長期にあり、ITチームは少人数でした。「私達が目指したのは、このツールを導入することで、ITチームだけでなくビジネスチームも強力にサポートすることでした」と同氏は述べています。これにより、チーム内で作業が完結し、リソース不足で苦しい状況に陥っていたIT組織に頼ることなく、自ら解決策を見出せるようになりました。
Viswanathanによると、これからは大規模な自動化を進めるに当たって、誰もがツールを使えるようになるべきだといいます。ビジネスプロセスの1%しか自動化されていない現状の打破は、ツールに最も近いところにいるユーザーに理想の自動化を実現する力を与えることから始まります。コンテンツマーケティングマネージャーや会計士もまた、ITマネージャーと同じように自動化に取り組めるべきなのです。
SlackのピープルアナリティクスマネージャーであるJessica Barry氏は、「私の経験上、人事システムとそれに付随する統合は、IT組織にとって必ずしも最優先の業務ではありません。そのため、自分達で部内のシステムを今後も統合しなければならなかったのです」と言います。「Workatoを人事部で独自に活用できるようになったことで、人事システムとの連携が可能になり、加速するビジネススピードにも同じリソース内で対応できるようになりました」
Slackで「Time-to-Fill(欠員補充に要する時間)」と「Time-to-Hire(採用に要する時間)」の短縮を命じられたBarry氏は、まずWorkday、Greenhouse、Slackの統合から始めました。「Greenhouse内の紹介登録プロセスを自動でSlackに表示できるようになり、求職者が登録されたことをリクルーターに通知したり、採用責任者に通知したりと、数多くの業務の自動化を実現することができました」
また、Barry氏は自動化機能を使って、面接後に候補者のフィードバックやスコアカードへのリンクを送信し、面接官が記入できるようにしました。開発者でもなく技術的なバックグラウンドも持たないBarry氏でしたが、高度な自動化を導入し、急拡大する企業のスピードに合わせてチームの成長を支援することができました。
大規模な自動化の実現は、ソリューションを必要としているビジネスユーザーのエンパワーメントから始まります。SaaSアプリを連携するIntegration Platform as a Service(IPaaS)の活用は、もはや技術的なITユーザーにとどまらず、全社にわたるユーザーが対象となるということです。自動化の可能性を秘めた99%を利用するには、簡単に利用できるソリューションが必要なのです。
ZDNet Japan編集部:本稿は、Workatoの自動化コミュニティーSystematicに掲載されている記事をWorkato Japanが翻訳したものです。執筆者のSarah Dotson氏は、Workatoの社員でSystematicのマネージングエディターです。