パーソル総合研究所、第7波のテレワーク状況を調査–忘れる企業と希望する従業員

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 パーソル総合研究所は8月10日、同社が実施した「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」の結果を発表した。同調査の目的は、「第7波」とされる新型コロナウイルス感染症の現在の流行拡大下におけるテレワークの実態を定量的に把握することだとしている。

 これによると、企業や団体におけるテレワークの実施率や実施頻度は減少傾向にあるのに対し、従業員が感じるテレワークの生産性は上昇傾向にあり、テレワークの継続希望率も増加しているという。

 調査は7月13~18日、調査会社のモニターを対象にインターネットで実施。調査対象者の詳細は、従業員数が10人以上の企業・団体に勤める20~59歳の男女で、内訳は正社員が2万46人、非正規雇用の社員が5009人、公務員・団体職員が305人となっている。

 今回の調査期間におけるテレワークの実施率は、正社員が25.6%と2022年2月の第6波の28.5%から微減した。2022年7月におけるテレワークの実施頻度は5月から約半分に減り、「実施していない」との回答が11.6ポイント増加した。

 テレワークの実施率を雇用形態別に見ると、正社員が25.6%だったのに対し、非正規雇用の契約/嘱託社員は15.0%、派遣社員は18.8%、パート・アルバイトは5.9%、公務員・団体職員は13.4%だった。企業・団体の規模別では従業員数が多いところほど実施率が高い一方、2月の第6波時点と比較するとどの規模の企業・団体においても減少した(図1)。

 テレワークについての企業方針は、「テレワークが推奨されている」「命じられている」を合わせると33.3%で、第6波の38.6%から5.3ポイント減少した。33.3%という数値は、2020年4月以降では最低の数値である。

 出社時を「100」とした時のテレワーク時の主観的な生産性を聞くと、回答の全体平均は89.6%で、2月時点から5.4ポイント上昇した。職種別に見ると、ウェブクリエイティブ職(100.2%)、クリエイティブ職(96.0%)、企画・マーケティング(95.6%)の順に高かった。

 テレワーク実施者のテレワーク継続意向は、「続けたい」「やや続けたい」を合わせると80.9%で、第6波時点の80.2%から微増し、過去最高だった。テレワークの継続希望率は、2020年4月から増加傾向にある。

 テレワークの普及に向けて行われた施策を聞いたところ、最も多かったのは「遠隔会議システムの導入・利用促進」(42.6%)だった。「ビジネスチャットツールの導入・利用促進」(31.7%)、「出退勤労務管理に関するITツールの導入・利用促進」(25.2%)など、全体的にITツールの導入が多かった一方、「いずれもない」との回答も19.9%見られた(図2)。

 調査結果について、上席主任研究員の小林祐児氏は「過去最大の新規感染者数を記録している今回の第7波において、テレワーク実施率は2022年2月の第6波に比べて減少が見られた。重症化率の低下や警戒心の薄れに伴い、感染の拡大がテレワークの実施を導かなくなってきた傾向が顕著だ」と考察している。

 「一方で、従業員側のテレワーク継続希望率は過去最高を更新した。企業側の方針と働く個人の思いにギャップが広がっている。テレワークの実施ではITツールの導入ばかりが先行し、働き方全体を見直すような取り組みがいまだに不足している。働き方やコミュニケーションの工夫が少ないままに『自社にはテレワークは合わない』と働く選択肢を狭めてしまえば、従業員の気持ちは離れてしまうだろう。このまま多くの日本企業がテレワークを忘れていくのか、それともテレワークを前提として働き方を変えていけるのか、今がまさに分岐点と言える」(小林氏)

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