第4回:顧客の声(VOC)をデジタル変革に取り入れるヒント
今回は「第4回:顧客の声(VOC)をデジタル変革に取り入れるヒント」についてご紹介します。
関連ワード (ビッグデータ、誰一人取り残さない、ユーザー中心のDX改革等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
米国では近年、クラウド型ソフトウェアの製品開発において、顧客の声(Voice of Customer:VOC)を早いサイクルで反映させる手法が成功の鍵となると注目を浴びている。その背景として、アジャイル開発の定着によってプロダクトリリースの方法が進化したことが要因として挙げられる。
VOCとは、提供した製品やサービスについて、ユーザーのニーズや要望、期待値、体験などを直接聞き出し収集する、構造化されたプロセスのことだ。ソフトウェアのユーザーという視点では、外部にサービス提供して企業の収入源にするケース(外部顧客)もあれば、社内やパートナー企業など、組織内の部門・部署間での仕事で利用するケース(内部顧客)もある。
日本においてデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を成功させるには、攻めのDXとして新たなデジタルサービスを提供する場合でも、守りのDXとしてデジタルで従業員の業務効率化と満足度を向上させる場合でも、VOCの概念は切っても切り離せない。
一昔前まで、プロダクトリリースはバージョン管理(「v.1.05」などの表記)が主流だった。長らくソフトウェア開発に携わっているPendoの創業社長、Todd Olsonによると、当時はプロダクト開発における顧客ニーズの多くが仮説に基づいており、仮説が間違っていると全くユーザーのニーズに見合わない製品が長い時間をかけてリリースされたり、リリースしたタイミングではユーザーは既に他の課題に直面したりしていた、ということがよくあった。
今日のソフトウェアデザインと開発には、アジャイル思考が取り入れられている。これは、顧客が感じている課題を解決する最もインパクトのある製品を提供するために、プロトタイピングのスピードとチーム間のコラボレーションを優先する手法だ。
リリースサイクルを早くすることで、より頻繁にユーザーからのフィードバックを収集可能となり、顧客のニーズに合ったプロダクトを作れるようになった。その結果、リリース方法は図1にあるように、一般公開をする前に幾つものベータ版のプロセスが同時進行で設けられている。このプロセスを組み込むことにより、仮説に対する実際のユーザーの行動分析とフィードバックから得たインサイト(洞察)をプロダクトに反映し、ニーズに即した機能を一般公開できるようにすることで、ユーザーへの価値が高いソフトウェアを提供できるというわけだ。
ソフトウェア開発では近年、ユーザーがソフトウェアを利用しているタイミングで顧客の声を収集する手法に期待が高まっている。
従来、顧客から直接意見をもらう方法として、(1)営業やカスタマーサクセスマネージャー(CSM)が担当者から直接聞き出す、(2)メールでユーザーにアンケートを回答してもらう、という2つが主流だった。
営業やCSMが直接ヒアリングする課題としては、顧客の数が限られることだ。時間もリソースも限られる中で顧客から満足/不満足なポイントを含めた情報を聞き出すとなると、契約金額が高いなど優先度の高い顧客に絞られるので、この時点でバイアスがかかる。また、窓口担当から意見を聞けたとしても、その先に何十、何百のユーザーが利用している場合には、その現場のユーザーレベルの声を窓口担当が把握できているか定かではない。
また、ユーザーにメールで回答を促す場合の調査の課題は、その回答率だ。考えてみていただきたいのだが、みなさんは普段業務で使っている多数のソフトウェアの名前をきっちり覚えているだろうか。必要なツールをブラウザーにブックマークし、その業務が必要な時に、見覚えのあるアイコンをクリックして作業をする、というのが日常業務の風景ではないだろうか。そんなうろ覚えなサービス事業者から、「意見を聞かせてください」というメールが送られてきても、業務を中断してまでアンケートに答えるモチベーションは、ユーザーにはあまり湧かないだろう。
そこで、ユーザーがソフトウェアを使っている、そのタイミングでユーザーに質問することによって、ユーザーの回答への心理的なハードルを下げ、回答率を高めていこうというわけだ。
今回は、Pendoが提供している、2つのVOC収集手法を紹介する。