JavaScriptランタイム「Bun」が約9億円を調達、「Oven」社を設立。ホスティングやCIサービスなど計画
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本記事は、Publickey様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
7月に発表されるやいなや急速に注目を集めているJavaScriptランタイム「Bun」の開発者であるJarred Sumner氏が、Bunの開発とサービス提供などを目的とする企業「Oven」社の設立を発表しました。
Introducing Oven: the company behind Bun.
Oven has raised $7m led by @buckymoore at Kleiner Perkins with participation from @rauchg @ycombinator and morehttps://t.co/HG2TUCQWbL
— Oven (Bun) is hiring engineers (@oven_sh) August 24, 2022
(「Bun」(丸パン/おまんじゅう)を焼く「Oven」(オーブン)を会社名にするのは洒落が効いてますね。)
Bunは高速かつオールインワンのJavaScriptランタイム
Bunは公式Webサイトで「Bun is a fast all-in-one JavaScript runtime」と紹介されているように、JavaScriptランタイムとバンドラ、トランスパイラなどが最初から統合されているソフトウェアです。タスクランナーとして実行できる機能も備えています。
JavaScriptエンジンにはSafariに搭載されているJavaScriptCoreを採用。Node.jsの主要なAPIやNode.jsのモジュール依存関係解決アルゴリズムも実装し、内蔵するnpmクライアントにより高速にnpmパッケージを読み込んで利用できます。
さらにTypeScript/JSXトランスパイラによってTypeScriptファイルをそのまま読み込んで実行できるなど、既存のJavaScriptランタイムであるNode.jsのエコシステムやDenoの利点を取り込もうとしています。
そしてBunの開発者であるJarred Summer氏は、今年の7月にBunを発表するツイートで「incredibly fast」(信じられないぐらい高速だ)と表現しました。
Introducing Bun – an incredibly fast all-in-one JavaScript runtime. https://t.co/Yt6tAcnBQs
— Jarred Sumner (@jarredsumner) July 5, 2022
これは主な開発言語としてZigを採用し、メモリ管理などを含む低レイヤでの実装を実現することで高速な動作を実現しているからだと説明されています。
こうした多機能かつシンプルで高速な点が、Bunが注目される要因といえそうです。
BunのエッジホスティングとJavaScriptのCI/CDサービスの提供を計画
そしてBunの開発者であるJarred Summer氏が今回発表したのが、著名なベンチャーキャピタルであるKleiner Perkinsによる主導で総額700万ドル(1ドル130円換算で9億1000万円)の投資を受けた「Oven」社の設立です。
Ovenがなにを計画しているのかについては、同社の説明を引用しましょう。
Oven will provide incredibly fast serverless hosting & continuous integration for backend & frontend JavaScript apps — and it will be powered by Bun.
Ovenは非常に高速なサーバレスのホスティングとバックエンドおよびフロントエンド向けJavaScriptアプリケーションのための継続的インテグレーションの提供を予定しています。そしてそれはBunによって実現されるでしょう。
It will support popular frontend frameworks like Next.js, Vite, SvelteKit, SolidStart and many more — along with backend frameworks like Express, Fastify, NestJS and more.
ExpressやFastify、NextJSなど多くのバックエンドフレームワークと同時に、Next.js、Vite、SvelteKit、SolidStartなどを始めとする数多くのポピュラーなフロントエンドフレームワークをサポートする予定です。
The plan is to run our own servers on the edge in datacenters around the world. Oven will leverage end-to-end integration of the entire JavaScript stack (down to the hardware) to make new things possible.
計画としては世界中のデータセンターのエッジでわれわれのサーバを実行します。OvenはJavaScriptスタック全体(ハードウェアに至るまでの)の統合を活用して、新たなことを可能にしていきます。
さらに同社は今後6カ月以内にBunの安定版をリリースするとし、それにはJarred Summer氏ひとりでは不可能なため社員を募集するとしています。
JavaScriptランタイムの競争と進化は激化するか?
Bunの登場によって明らかに刺激されたのがDenoです。Denoは今月、npmパッケージをサポートすることと最速のJavaScriptランタイムになるという方針を発表しました。これは後発のBunがnpmをサポートし、高速性を強調したことに反応したことは間違いないでしょう。
参考:Denoが大幅な方針変更を発表。3カ月以内にnpmパッケージへの対応を実現、最速のJavaScriptランタイムを目指しHTTPサーバを刷新
また、エッジでBunをホスティングを提供するというOvenの計画も、Deno Landがすでに提供を開始しているDeno Deployと同様のサービスとして競合するように見えるため、ビジネス面でもDeno LandはOvenへの対抗を強めていく可能性がありますし、JavaScriptランタイムのホスティングサービス分野ではCloudflare WorkersやFastly@Edge、AWSのAWS LambdaやCloudFront Functionsなどさらに競合が広がります。
DenoとBunの競争によってJavaScriptランタイムの進化が促進されれば、Node.jsをはじめさまざまなプレイヤーがそれに触発されることになるでしょう。
Bunの登場とOvenの起業は、今後数年にわたってJavaScriptランタイムの競争とサービス化の進化を大きく刺激することになりそうです。