インターポールが独自のメタバースを立ち上げ–犯罪者らの悪用に対抗
今回は「インターポールが独自のメタバースを立ち上げ–犯罪者らの悪用に対抗」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization:INTERPOL)はインドのニューデリーで開催した第90回総会で現地時間10月20日、バーチャル世界での警察活動にまつわる訓練に向けた取り組みの一環として「INTERPOL Metaverse」を立ち上げたと発表した。
INTERPOLは同メタバースについて「世界各地の法執行機関向けに特化した初のメタバース」だと述べるとともに、これによって世界の法執行官がアバターを介し、国境を越えて知識を共有するためのツールを手にするとともに、犯罪科学捜査やその他の警察活動に関するイマーシブな訓練を受けられるようになると述べている。
またINTERPOLは同日、新たな仮想世界に関する法執行機関の懸念を共有するために、メタバースの専門家グループを設立したとも発表した。
INTERPOLは「犯罪者らは既にメタバースを悪用し始めている」と警告している。
「メタバースのユーザーが増え、そのテクノロジーがさらに進歩するとともに、子どもに対する犯罪や、データ窃盗、マネーロンダリング(資金洗浄)、金融詐欺、偽造、ランサムウェア、フィッシング、性的な暴力やハラスメントを含むさまざまな犯罪が生み出される可能性がある」(INTERPOL)
INTERPOLは、「これらの脅威の中には、法執行機関にとって大きな課題となるものがあるはずだ。というのも、現実の世界で犯罪だとされている行為のすべてが、仮想世界でも犯罪だとみなされるわけではないためだ」と警告している。
メタバースは依然として黎明期にあるとはいえ、大手テクノジー企業は仮想現実(VR)用のヘッドセットやソフトウェア、コンテンツ、環境によってそのファブリックの一部になろうと既に動いている。メタバースは、ゲームやソーシャルネットワーキングにとどまらず、ビジネスにおけるバーチャル会議や、デザインプロセス、テストプロセス、小売り分野で明るい未来を約束する一方で、インターネットがもたらしたような新たな犯罪の温床になる可能性もあるだろう。
Gartnerの予測によると、2027年までに大企業の40%がメタバース上のプロジェクトでWeb3と拡張現実(AR)を組み合わせて用いるようになるという。
INTERPOLのテクノロジーおよびイノベーション担当エグゼクティブディレクターであるMadan Oberoi氏は、「メタバースはわれわれの日常生活のあらゆる側面を変革する可能性を秘めており、それは法執行機関にとって大きな意味を持っている」と述べている。
Oberoi氏は「しかし、警察がメタバースを理解するには、まずそれを経験する必要がある」とも述べている。
INTERPOLによると、メタバースは犯罪者らによっても用いられるようになってきているという。同機関は19日、「Global Crime Trend」(世界の犯罪傾向)レポートの公開を発表した。同機関に参加している195カ国の法執行官を対象とする調査の結果に基づいて作成されたこのレポートによると、回答者の70%が今後3~5年間はランサムウェア攻撃やフィッシング攻撃が増加すると見込んでいると答えている。
また法執行機関は、デジタル資金洗浄ツールといった「サービスとしての金融犯罪」について懸念しているだけでなく、ビジネスメール詐欺(BEC)や最高経営責任者(CEO)になりすます詐欺、Eコマース詐欺、投資詐欺についても懸念している。
INTERPOLの事務局長であるJurgen Stock氏は、「多くの人々にとって、メタバースは抽象化された未来の到来を告げるものとなっているようだが、メタバースによって引き起こされる問題は昔からずっと、INTERPOLの動機となってきている。つまり、犯罪と戦い、現実世界であるか仮想世界であるかにかかわらず世界をそこで暮らす人々にとってより安全なものにするために加盟国を支援することだ」と述べている。