IIJ、オンプレとクラウドのデータ連携基盤を提供–90以上のアダプターも

今回は「IIJ、オンプレとクラウドのデータ連携基盤を提供–90以上のアダプターも」についてご紹介します。

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 インターネットイニシアティブ(IIJ)は、オンプレミスとマルチクラウドのデータ連携を容易にする「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」(IIJ CDP)の提供を12月21日に開始することを発表した。これに伴う12日の説明会で、同社 執行役員 クラウド本部長の染谷直氏と、クラウド本部サービス企画室長の鈴木透氏が新サービスの詳細について説明した。

 IIJ CDPは、オンプレミスとクラウド間で「簡単」「セキュア」「低コスト」にデータを連携するプラットフォームサービス。PaaSの1つになるという。オンプレミスやクラウドにあるデータを同プラットフォームに集約し、ユーザーは必要なデータを抽出して、オンプレミスやクラウドにあるシステムやサービスに利用できる。

 近年、オンプレミスと複数のクラウドサービスを併用するマルチクラウドを利用する企業が増加しているという。しかし、マルチクラウド環境下では、システム間のデータ連携が複雑化し、データ連携のインターフェースの開発にコストや時間がかかるといった課題が出てきていると、染谷氏は説明。また、セキュリティの面ではオンプレミスに蓄積された機密性の高いデータをクラウド上で安全に扱いたいという企業の要望もあるという。

 IIJは、企業のマルチクラウドの利用を支援するため、「4つのハブ」というサービスコンセプトで開発を進めている。パブリッククラウドとオンプレミス、同社IaaSの「IIJ GIO」を結ぶネットワークのハブとして「IIJクラウドエクスチェンジサービス」、オンプレミスに代わりマルチクラウドの中核となるインフラのハブとして「IIJ GIO インフラストラクチャーP2 Gen.2」、マルチクラウド環境の運用効率化を実現するオペレーションのハブとして「IIJ Multi-Cloud Management Platform」(IIJ MMP)の3つのハブを既に提供しており、IIJ CDPはデータのハブとしてリリースすることになる。

 IIJ CDPは、オンプレミス/マルチクラウド環境におけるデータ連携での課題を解決し、スモールスタートもできるとする。染谷氏は、これにより大企業だけでなく、中堅・中小企業でもデータを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進してほしいと語る。「オンプレミスの資産をIIJ GIOに移管し、データについてはIIJ CDPを通してマルチクラウドにも対応し、最終的には企業顧客のフルクラウド化をご支援したい」

 鈴木氏は同サービスの特徴として、「多彩なクラウドインターフェース」「ノーコードでデータフロー開発が可能」「オンプレミスと閉域ネットワークでの接続」「秘匿(マスキング)機能で機微データを保護」の4つを挙げた。

 多彩なクラウドインターフェースでは、SalesforceやAmazon Web Service(AWS)などのクラウドや「Oracle Database」「Microsoft SQL Server」などのリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)など、90種類以上のサービス/アプリケーションに対応した連携アダプターを提供している。そのため、連携先のサービスとのインターフェースを個別に開発せず、データの連携が可能になるという。

 データフロー開発では、アイコンのドラッグ&ドロップ操作などグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)で作業ができるため、データ連携システムの開発作業を大幅に内製化し、システム使用の変更も迅速かつ低コストで対応できる。これらのデータ連携機能をサービス化するに当たり、アステリア(旧称:インフォテリア)のデータ連携ツール「Asteria warp」をコアエンジンに採用し、サービス機能として組み込んで活用している。

 また、プライベート接続に関しては、IIJのネットワークサービスを併用することで、同サービスと顧客のオンプレミス環境を閉域接続できる。例えば、インターネットからの到達性を持たせたくないオンプレミスのデータを同サービスと接続し、クラウドサービスと連携することでオンプレミス環境の安全性を確保できるとしている。ほかにも、「IIJクラウドエクスチェンジサービス」を併用することで、主要なクラウドサービスとも接続し、完全に閉域のデータ連携環境を構築することも可能だという。

 最後に、同サービスの標準機能として提供する「データマスキング機能」を紹介。これは、データベースやCSVファイルの特定データをマスキングする機能。特徴としては、電話番号や会員番号のほか、漢字・平仮名にも対応しているため、氏名や住所などのマスキングも可能になる。さらに、データの論理的な特性や統計を維持したままマスキングができるため、本番環境と同等のテストデータを作成し、質の高い機能テストや性能テストを実施できるとしている。

 同サービスは、同社IaaSの「IIJ GIO P2サービス」上で提供する。IIJ GIO P2サービスでは、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度」(ISMAP)や欧州の「拘束的企業準則」(Binding Corporate Rules:BCR)の承認、「APEC越境プライバシールールシステム」(Cross Border Privacy Rules:CBPR)の認証を取得している。鈴木氏は、「顧客の大切なデータの活用のハブになるインフラとしてセキュリティを重視したサービスになっている」とコメントした。

 IIJ CDPのメニューは、「エントリー」「スタンダード」「エンタープライズ」の3つのエディションと、「SMALL」「MIDDLE」「LARGE」のコンピューティングリソースを用意している。データ連携の規模や要件に合った組み合わせで利用できる仕組みだ。スモールスタートに適した「エントリー」、データ連携機能を網羅的に備えた「スタンダード」、大規模・大容量に応じた「エンタープライズ」は、それぞれ月額12万円、29万円、35万円からになる。

 今後の開発予定として、21日にクラウドデータプラットフォームの核になる「クラウドデータハブ」を提供し、順次機能を追加して、継続的に開発を続けていくという。2023年春にはデータストア機能を提供し、データ連携の基本的なユースケースに対応できるようにする。ほかにも、データ分析機能の強化やデータの監査に対応するため、セキュリティやガバナンスの強化も予定しているという。

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