IIJ、IT人材育成プログラムの受講生募集–「仕組みと原理」の理解図る
今回は「IIJ、IT人材育成プログラムの受講生募集–「仕組みと原理」の理解図る」についてご紹介します。
関連ワード (ネットワーク等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
インターネットイニシアティブ(IIJ)は1月16日、ネットワーク技術とソフトウェア開発技術に精通したIT人材を育成する教育プログラム「IIJアカデミー」の第1期受講生の募集を開始した。募集要項に加え、カリキュラムの情報もIIJのウェブサイトで公開している。
第1期の実習期間は2023年5月8日~7月28日の12週間で、IIJ本社での対面/オンラインの両方で受講できる。講師はIIJの現役社員。ある程度のソフトウェアやネットワークの知識がある人を対象としており、リスキリングとして学び直したい社会人やITエンジニアを目指す18歳以上の学生を想定している。募集人数は20~30人で、希望者は専用ページから自身が保有するIT関連資格や学習/業務経験、習得・強化したい技術分野などを入力して応募し、面接を経て合否が決定する。税込みの受講料金は、社会人が20万円、学生が10万円としている。
IIJアカデミー開設の背景には、ネットワークが社会のインフラとして不可欠なものになっている分、トラブルや停止は許されなくなっていることがある。一方で、ネットワークの安定運用や構築に関する技術を実践と共に身に付ける機会は減っている。企業ではITシステムにおける外部ベンダーへの依存が見られ、大学でも学内ネットワークを構築・運用する機会がなくなっているという。
この動きについて、同日に開催された説明会に登壇したIIJの顧問でIIJアカデミーの統括責任者も務める久島広幸氏は「学内でもネットワークがインフラ化している証。1980~1990年代は、学生が主体となってキャンパスのネットワークを運用する動きがあった。そうすると失敗しながらも実践を通して経験が深まったが、今はセキュリティ意識の高まりもあり、学内インフラは簡単に学生へ提供できるものではなくなっている。今の学生は、失敗できる場所がない」と話した。
「座学だけで得た知識には、限界がある。ネットワーク機器やコンピューターの動きをブラックボックスとしてしか把握できず、仕組みと原理の理解がおぼつかないままになる恐れがある」(久島氏)
そこでIIJアカデミーでは、ネットワークを中心とする9つの技術分野において、仕組みと原理への理解に向けた実習課題を用意している。技術分野には、「ネットワーク」「DC(データセンター)/クラウド」「サーバー」「仮想化」「冗長性」「性能」「トラブルシューティング」「仕組み・原理」がある(図1)。こうしたカリキュラムによりIIJは、受講生に“血の通った”技術的素養を身に付けてもらうことを図っている。
実習課題項目は第1期では17個だが、アカデミーの運営を継続する中で項目を拡充させることを予定している。カリキュラムの根幹には、IIJが30年間事業を展開してきた中で経験したトラブルや試行錯誤を経て出来上がった製品に関する知見があるという。
2022年12月に創業30周年を迎えたIIJは、社会貢献の一環としてIIJアカデミーの開設に至った。2022年11月の開設発表以降、受講を検討する社会人や学生からIIJアカデミーに関する問い合わせが複数寄せられており、「IIJの競合とされる企業の人もいる」(久島氏)という。所属する企業の業種は限定しておらず、「技術屋」として技術を身に付けたいというマインドを持っている人であれば歓迎するとしている。
「例えば、企業の情報システム部門ではやはりベンダーに頼むことが多いため、中には『ベンダーの言っていることが理解できないまま日々が過ぎていく』という人もいるのではないか。毎日そういうことばかりを考えているわれわれと一緒に実習し、技術を身に付けてもらえば、本人のためになるほか、所属する会社にも還元できるかもしれない」と久島氏は献身の姿勢を示した。