生成型AIに期待を寄せる消費者と「失敗したくない」企業–アドビ調査

今回は「生成型AIに期待を寄せる消費者と「失敗したくない」企業–アドビ調査」についてご紹介します。

関連ワード (ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 アドビは、デジタルエコノミーとジェネレーティブ(生成型)AIが消費者と企業に与える影響について調査を実施し、4月20日に結果を発表した。同調査によると、日本は生成型AIに対し、消費者としては好意的に捉えている一方、企業としては慎重であると分かったという。

 Adobeは3月、テキストを入力して画像を自動生成する「Adobe Firefly」、複数の大規模言語モデル(LLM)を活用して文書を生成・修正する「Adobe Sensei GenAI」を発表している。

 同調査は、1万3000人の消費者、4250人の顧客体験(CX)・マーケティングの専門家を対象に実施された。調査対象国は、米国、英国、デンマーク、オランダ、スウェーデン、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、日本、インド、シンガポール、タイ、マレーシアの14カ国。

 同調査では、世界の消費者の84%が「デジタルエコノミーは自分たちの生活において何らかの役割を担っている」と回答し、そのうち18%が「経済そのものである」、35%が「重要な役割を果たしている」と答えた。デジタルエコノミーとは、デジタル技術を基にした社会経済の在り方を指し、サービスの例としてはECや電子マネーなどが挙げられる。

 「景気がより悪化した場合、CXへの期待値はどう変化するか」と聞いたところ、「非常に高まる」「高まる」と回答した消費者の割合は50%だった。1990年代中盤~2000年代序盤に生まれたZ世代に限定すると、「非常に高まる」「高まる」と答えた割合は65%に上った。

 同日開催の説明会に登壇したDXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長の祖谷考克氏は「景気が悪化し、世代が若返る中、企業はより優れたCXを提供することが求められる」と解説した。景気の悪化とCXの期待値向上の因果関係については「お金をかけられる対象が絞られると、見る目がより厳しくなるのではないか」と推察する。

 「生成型AIはCXを改善すると思うか」という質問に「改善すると思う」と回答した消費者の割合は、日本が76%、米国 が67%だった。また、生成型AIに対して「ミラクル」「役に立つ」など好意的に捉えている消費者の割合は、日本が75%だったのに対し、米国は46%だった(図1)。

 日米での期待や評価が異なる要因の一つとして、祖谷氏は「エンターテインメント作品における先端技術の描き方の違い」を挙げ、「ハリウッドのSF映画などでは人類の敵のように扱うことが多い一方、日本のアニメでは子どもを助けるロボットなどが登場し、幼少期から好意的なイメージが醸成されているのかもしれない」と見解を述べた。

 一方、生成型AIによるコンテンツの使用を検討しているマーケティング担当者の割合は、日本が77%なのに対し、米国は93%だった。また「積極的に使用する」 と答えた割合は日本が31%だったが、米国は64%だった。日本では「絶対に使わない」と回答した担当者も16%存在する。この結果から、日本では生成型AIに対し、消費者としては好意的に捉えている一方、企業としては慎重であるといえる。

 「日本企業ではミスをしないことが重要な価値基準としてあるが、海外ではミスをすることで新しい学びにつながるという考えがある。日本では『お客さまに迷惑をかけてはいけない』という思いが強い分、企業としてAIを採用することに躊躇(ちゅうちょ)している所が多いのかもしれない。ただ、最近は国内でも生産性の向上に向けて『ChatGPT』を試験的に導入する動きが見られるので、おそらく今後はそうした企業に追随する形で他の企業も重い腰を上げ始めるのではないか」と祖谷氏は考察した。

 マーケティング担当者に生成型AIへの印象を尋ねたところ、「より多くのコンテンツを作る」「より多くの仕事をこなす」「より良いコンテンツを作る」という項目に同意する割合は日本の方が高いが、「自分や同僚の仕事を脅かす」「人間の創造性を終焉(しゅうえん)へ導く」「仕事の質を落とす」という項目に同意する割合は米国の方が高かった。

 このことから、日本のマーケティング担当者は米国と比べてAIを「副操縦士」として認識しており、自分が仕事をする上で役に立つ存在と見ている傾向があるといえる。一方、「新しい顧客像を見つける」「新しいカスタマージャーニーを作成する」「ブレインストーミングを行う」といった項目は米国を下回っており、従来人間が議論しながら進める「プランニング」領域への期待値は現時点で低いとみられる(図2)。

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