「全開発者をAI開発者に」–SAP、HANA Cloudにベクトルデータベースを導入

今回は「「全開発者をAI開発者に」–SAP、HANA Cloudにベクトルデータベースを導入」についてご紹介します。

関連ワード (ソフトウェア等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 SAPは11月2~3日、インド・バンガロールで開発者向けの年次イベント「SAP TechEd 2023」を開催した。「全ての開発者をAI開発者に」をメッセージに、「SAP HANA Cloud」でのベクトルデータベースのサポートなどAI関連機能を発表した。

 2日の基調講演に登壇したエグゼクティブボードメンバー兼最高技術責任者(CTO)のJurgen Mueller氏は、まず生成AIブームに触れ、「SAPはこれを適用してビジネスAIを提供する」と述べた。同時に「開発者はAI開発者になる必要がある」とし、SAPは技術プラットフォームの「SAP Business Technology Platform」(BTP)でこれを支援していくとした。

 SAPは、それまでの「SAP Cloud Platform」などのPaaSの取り組みを集約し、2021年に「SAP BTP」へのリブランドを発表した。統合・拡張・アナリティクスと大きく3つの用途で利用できる。

 Mueller氏によると、SAP社内では万人単位でBTPを開発しており、2022年のTechEd以来1000以上の機能を実現、99.99%の可用性で運用しているという。BTPを利用する顧客数は、2022年の1万9000社から3000社増の2万2000社に達しているとのことだ。

 2023のTechEdでは、そのBTPに多数の機能が加わった。その中で最大の発表と言えるのが、ベクトルデータベースだ。非構造データをベクトル形式で保存できるもので、リアルタイムにデータへアクセスできるRetrieval-Augmented Generation(RAG)と並び、企業が公開データ以外のデータをAIで活用するのに重要な技術となる。

 Mueller氏は、「GPT」「Llama」「Falcon 180B」「Cloude」といった公開情報に基づく大規模言語モデル(LLM)の制限として、過去1~2年分の情報が含まれていないこと、業界用語や企業固有の情報に基づいていないことなどを指摘しながら、「LLM、企業データなどの関連するデータを組み合わせる必要がある」と述べる。それを解決するのが、「SAP HANA Cloud Vector Engine」だ。「業界をリードするSAP HANA Cloudデータベースでベクトル機能を利用できる。これにより、SAP HANA Cloudデータベースのリレーショナル、地理空間、グラフ、JSONのマルチモーダル処理機能をそのままに、社内のミッションクリティカルなデータへのアクセスを加えることができる」(Mueller氏)

 Vector Engineは、既にSAP社内で利用されており、2024年第1四半期に提供を開始するという。AIではまた、開発者がAIおよび生成AIを活用した拡張やアプリケーションをBTP上に構築するのを支援する「AI Foundation」も発表した。

 SAP HANA Cloud、それに2021年に発表された「SAP AI Core」「SAP AI Launchpad」などにある既存の開発ツールや新しい機能で構成され、AIサービス、生成AI管理、AIワークロード管理、ビジネスデータへのアクセスなどが可能となる。

 合わせて、2023年内にさまざまなLLMに容易にアクセスできる「生成AIハブ」をSAP AI Coreに加える予定も明かしている。プロンプトエンジニアリングなどのツールも備わる予定で、12月に一般提供を開始する計画という。

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