NECと木村屋がAIを用いたパン新商品を開発–新たなアプローチも

今回は「NECと木村屋がAIを用いたパン新商品を開発–新たなアプローチも」についてご紹介します。

関連ワード (製造 x IT等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

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 NECと木村屋總本店(木村屋)は1月17日、木村屋の創業155周年施策の一環として、AI技術を用いたパンの新商品を開発したと発表した。同日の発表会でプロジェクトの取り組みなどを明らかにした。

 木村屋は「あんぱん」で著名な製パン企業。1869年に創業し、関東の1都6県および関東以外の一部地域にパンや菓子などの製品を供給している。記者会見した取締役 特品統括部長 財務部長の齊藤浩二氏は、2024年に創業155周年を迎え、「次世代への同社の発信」「時代の変化への対応」を課題に位置付け、同社の使命という「食で感動を繋ぎ、幸福の輪を広げる」、また価値観と位置付ける「楽しみと誇りの融合を創る」「丁寧に素早く『最高』を生む人を育てる」によって、課題を解決していくことを目指したと説明した。

 次世代への発信では、「新しい味覚の楽しみ」「未来へ向けてワクワクと誇りを持った挑戦」「先人からの教えの継承」をテーマにした。プロジェクトでは、社内から若い世代とのコミュニケーションを図るための商品開発が提起され、「コロナ禍などを背景に若者の恋愛離れが各種調査で判明した。恋をしている若者は減ったが、恋をしたい若者は減っていないのではないかという仮説を立て、プロジェクトでは若者の恋愛を本気で応援するパンを作り、次世代に当社を発信できると考えた」(齊藤氏)という。

 木村屋は、プロジェクトパートナーにNECを選定した。NECは、以前からAIを活用したさまざまな商品開発を手掛けており、2020年にはコエドブルワリーとAIを用いた「人生醸造craft」を開発して話題になった。齊藤氏によれば、木村屋とコエドブルワリーはビジネスでのつながりがあり、コエドブルワリーが人生醸造craftの開発で新世代へのメッセージ発信に成功していたことからコエドブルワリーに相談し、NECとプロジェクトを組むに至ったという。

 NECは、木村屋からの要請を受けて、AIを活用したパン商品「恋AIパン」の開発を支援した。デジタルプラットフォームビジネスユニット プラットフォーム・テクノロジーサービス事業部門 AI・アナリティクス統括部 シニアディレクターの孝忠大輔氏は、「一見関係性のない恋愛感情と味をAIでどう結び付けていくかが挑戦だった」と明かす。

 そこで、まず恋愛感情をモデル化すべく、Abema TVの協力で中高生に人気の番組「今日、好きになりました。」の出演者の15時間分の会話データからNECの音声認識技術「NEC Enhanced Speech Analytics」を使ってテキストを抽出。さらに、データ意味理解技術の「NEC Data Enrichment」を使い、出会いや告白といった恋愛シーンごとの会話文に32個の感情キーワードとの相関性を表す感情スコアを付与して、シーンごとに感情の傾向を可視化した。

 次に孝忠氏は、楽曲の歌詞に登場する食品から感情と食品の味を結び付ける着想を得て、 約100万曲の日本語歌詞データベースからフルーツやスイーツなど183種類の食品を含む約3万5000曲を抽出し、NEC Data Enrichmentを使って食品を含む歌詞に感情スコアを付与、食品イメージが持つ感情の傾向を可視化した。

 さらに、番組の恋愛シーンの感情傾向と食品イメージが持つ感情傾向について、傾向が似ている恋愛シームと食品をひもづけ、パン新商品で恋の感情を表現し得る上位50種類の食品をリストアップした。木村屋では、NECのリストを基に蒸しパン開発の職人が相性の良い食品の組み合わせを検討、選定し、恋を味で再現した恋AIパンを開発した。最後にNECは、同社の大規模言語モデル「cotomi」を活用して、食品や感情データから恋AIパンの顧客に訴求するための解説文を生成した。木村屋では、この解説文を取り入れた商品パッケージを作り、2月1日に恋AIパンを発売する予定だ。

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