「経理財務が経営の羅針盤になる」–ブラックライン、日立ら3社とパートナー契約を締結

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 ブラックラインは2月27日、日立製作所(日立)、富士通、NTTデータ グローバルソリューションズの3社とそれぞれパートナー契約を締結したと発表した。この協業を通して、ブラックラインは経理オペレーションの変革に向けたソリューションの提供と先進事例を紹介。日立、富士通、NTTデータ グローバルソリューションズは、クラウド型決算プラットフォーム「BlackLine」の実装とERPや関連システムを含めた経理プロセスの最適化、システム稼働後の運用支援を行うという。

 同日に行われた記者会見に登壇した、BlackLine 共同最高経営者(Co-CEO)のOwen Ryan(オーウェン・ライアン)氏は、「パートナーエコシステムはブラックラインの成功に欠かせないものであり、私自身がこの成功に率先して役立てるように尽力する」と語る。同社は、各国の企業のニーズを理解する上で、それぞれの国におけるアドバイザリーやパートナーと協力している。

 同氏は日本市場に対して「大きな可能性を見いだしている」といい、「パートナーの支援により、最高財務責任者(CFO)組織のためのプラットフォームプロバイダーとしての確固たる地位を築いていく」と意気込みを見せた。

 次に登壇したブラックライン 代表取締役社長の宮崎盛光氏は、2024年の事業戦略として「パートナーエコシステムの拡大と連携強化」「顧客第一主義」「新製品の展開」――の3つを挙げた。

 顧客第一主義では、顧客企業により効果を実感してもらい、活用してもらえるようなサポート体制の強化を行う。特に日本企業が要望している機能について積極的に製品に反映させていくとしている。また、新製品の展開では、2024年にはIntercompany Financial Management(IFM)やFinancial Reporting Analytics(FRA)といった会社間取引やデータ分析の領域を展開するという。

 宮崎氏は「最も重要になるのはパートナー戦略だ」とし、3社との協業をパートナーコミットメントの下で進めていく。具体的には、両社で協業プランを策定し、作り上げたビジネスプランを通して密な連携を継続する。パートナーと共に大きな成長を遂げるために案件の初期段階から連携し、多くの商談の機会を創出する。そして、顧客にBlackLineを利用してもらい、効果を体験してもらうことを中心に据え、価値を提供していくという。

 これまでブラックラインは、グローバルパートナーとしてAccentureなどの4社と、ライセンスリセラーパートナーとしてSAPと協業をしてきた。日本市場では、今回新たに3社とのパートナー契約を経て、計7社と協業を進めていく。宮崎氏は、「日本市場のニーズに対応するため、これらのパートナーさまと一緒に顧客に徹底的に寄り添って、日本の全ての経理・財務が経営の羅針盤となる世界を作るべく、事業にまい進していく」と意気込みを述べた。

 記者会見に登壇した、日立製作所 インダストリアルデジタルビジネスユニット エンタープライズソリューション事業部 事業主管の吉本美津子氏は、「ブラックラインとのパートナー契約を締結することで、お客さまのコーポレートレベルでの決算業務などのDX推進を支援したい」と述べる。

 同氏は、エンタープライズ企業におけるコーポレートレベルの経営課題を3つ挙げた。「まず、事業成長とサステナブルな課題に向けた、大きな変化の連続に対応できる経営の仕組みが必要であること。次に、多岐に渡る事業を全社横断で迅速に評価できる共通基準が必要であること。最後に、全社横断の変革を行った際に、短期間で成長の成果を出す必要があるということ」だという。

 これらの課題を解消するために、日立では「コーポレート共通プラットフォーム」を提供している。同プラットフォームは、日立が自社での取り組みで培ってきたノウハウや顧客とのプロジェクトでのナレッジをアーキテクチャーモデルとして整備した。

 同プラットフォームを利用した経営管理では、「データ収集」「統合・管理」「報告・開示」の3階層でモデルを整理している。日立がサポートしている顧客の多くは、会計のコア業務に「SAP S/4HANA」を利用することで、会社全体で業務プロセスの標準化やデータ構造も標準化を行い、グループでのガバナンスを強化している。

 また、ERPの導入ではサポートできない経理の決算業務のタスク管理やデータの整合性の確認などの効率化にはBlackLineを導入し、効率化を実現している顧客が増えているという。顧客事例として同氏は、グローバル事業の展開をした顧客が、SAP S/4HANAとBlackLineを組み合わせた共通プラットフォームの基盤を構築し、その拠点を立ち上げる際にビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とともに展開して、現地のサポートやガバナンスの強化を行ったと説明した。

 次に、NTTデータ グローバルソリューションズ EA&PS事業部事業部長の八木将樹氏が、今回のパートナー契約の背景について説明した。同社は、NTTデータグループの中で、SAPに特化した導入を行う。八木氏は「ブラックラインは、会計業務の領域においてプロセスの自動化やコンプライアンスにフォーカスしており、非常に良いユーザーインターフェース(UI)を提供している企業だと感じている。また、SAPからSAPシステムと親和性の高い拡張ソリューションとして認められている」という。

 NTTデータ グローバルソリューションズでは、SAP製品とブラックライン製品の得意な領域を組み合わせて、デジタルファイナンスエリアの標準化やSaaSでも機能拡張を提供し、顧客のDX化の推進に注力している。

 現在、SAPを利用している顧客にとって、会計業務プロセスの自動化やコンプライアンスが必要な状況になっていると同氏は指摘。「BlackLineの導入が、その解の選択肢になると考えている」と、パートナー契約の目的を明らかにした。

 最後に、NTTデータ・スマートソーシング 執行役員 DX事業本部 本部長の林麻由美氏が登壇。同社は2023年7月に、ブラックラインとパートナー契約を締結している。両社のパートナー契約の背景にあったのは、「顧客からBlackLineの導入に関する相談を多く受けている」ことにあるという。

 現状、BlackLineの導入に本格的に取り組んでおり、顧客の経営業務の生産性と品質の向上に努めているという。今後は、NTTデータ グローバルソリューションズのSAPに対する知見や技術を培い、協力しながら顧客の課題に取り組み、企業の価値最大化に努めていきたいと説明した。

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