AIで古代の巻物を分析–2000年前の噴火で炭化した文書を解読する

今回は「AIで古代の巻物を分析–2000年前の噴火で炭化した文書を解読する」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 歴史的な火山噴火から2000年の月日が流れ、人工知能を用いて古代の謎の巻物を読み解く国際的な取り組みがなされている。それによって研究者らが知ったのは、古代ローマの少なくとも1人のエピクロス派哲学者が考えていたことが、食べ物だったということだ。

 人間とは、驚きに満ちている一方で、愛おしいほどに予測しやすい存在でもある。

 この発見は、「Vesuvius Challenge」の集大成としてもたらされた。ケンタッキー大学の研究者であるBrent Seales氏、GitHubの元最高経営責任者(CEO)のNat Friedman氏、起業家で投資家のDaniel Gross氏が2023年3月に立ち上げた同コンテストは、ヘルクラネウムの巻物として知られるものをコンピューター断層撮影(CT)スキャンで撮影し、機械学習ベースのソフトウェアと、テクノロジーに精通した世界中の研究者らの力を借りて、巻物に触れずに内容を解読することを目標としていた。

 主催者らはシリコンバレーの支援の下、かつてヴェスヴィオ山の噴火で埋もれて炭化した書物を解読する活動を前進させるため、賞金を出した。その一部である70万ドルを分け合うのは、優勝チームのYoussef Nader氏、Luke Farritor氏、Julian Schilliger氏の3人で、彼らは全員学生だ。3人が提出した15行の文章には、食料などの品物が不足しているか豊富にあるかによって、人間がそれらに抱く満足感が変化する、という記述があることが、予備分析で示されている。

 Vesuvius Challengeは、巻物の内側を探る取り組みの極めて重要な瞬間だ。これはSeales氏にとっても重要な瞬間で、ケンタッキー大学の研究者である同氏は20年間にわたってそれを成し遂げようとしてきた。

 Seales氏とチームのさまざまなメンバーは、この貴重な文書の解読にかつてないほど近づいている。コンテストの期限が米国時間2023年12月31日だったことは、ある意味でさほど重要ではなかった。この挑戦は、大賞と難問自体の両方の点で関心を呼び起こし、新しい協力者が参加するきっかけとなった。Seales氏によると、新規協力者による貢献は、最初の3カ月だけで人手作業の約10年分に相当するという。

 「AI、断層撮影、コンピュテーションによって、これほどの復元能力を手に入れたのかと感じられるのは驚くべきことだ」。Seales氏は大賞発表前のインタビューでこのように語った。

 大変な作業のように思えるかもしれないが、ヘルクラネウムの巻物を調べてきた研究者Michael McOsker氏は、これらすべての取り組みによって、約200冊の新刊書に相当するものが生まれる可能性があると見積もっている。このコレクションは、古代から残存する唯一の蔵書でもある。

 「われわれが持っている巻物は、書かれたすべての文献の1%に満たないだろう」とMcOsker氏。「少しでも知識が増えるのは重要なことだ」

 Seales氏は、20年をかけて古代の書物を解読するつもりはなかった。元々はニューヨーク西部出身の同氏は、画像処理の専門家で、AIに関心があった。問題は、当時のAI分野にあまり活気がなかったことだ。しかし、コンピュータービジョンは進歩が起きている分野だと思えた。

 同氏が1990年代半ばにケンタッキー大学で出会った教授は、アングロサクソン文学の叙事詩「ベーオウルフ」の写本に取り組んでいた。当時は図書館のデジタル化が推進されていた時代だ。多くの子どもたちと同様に高校で「ベーオウルフ」を読んだSeales氏は、興味をそそられた。同氏はこの1冊の書物をデジタル化する効果について考えた。現存する唯一の写本によって、この物語を目撃する。

 デジタル化の次は修復作業へと移った。テキストがデジタル化されると、画質の向上が可能になる。コピーの作成だけで終わりにする必要はなかった。しわの寄った文書をデジタルで平らにすることができるのなら、巻物を広げることも可能ではないだろうか。

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