店舗のIT活用は当たり前、広がる用途と機能–「リテールテックJAPAN」

今回は「店舗のIT活用は当たり前、広がる用途と機能–「リテールテックJAPAN」」についてご紹介します。

関連ワード (マーケティング、流通テック最前線等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 日本経済新聞社は3月12~15日、流通情報システム総合展「リテールテックJAPAN 2024」を東京ビッグサイトで開催した。人件費の適正化、顧客体験(CX)の向上、廃棄/機会ロスの削減などの観点から、小売業におけるIT活用は当然になりつつある中、テクノロジーの新たな活用方法を提案するソリューションや万引を防止するセルフレジを紹介する。

 NECは、顔認証技術を活用して店内の回遊から決済、受け取りまでの購買体験を改善するシナリオをデモンストレーションで紹介。小売企業における生体認証技術の活用というと「決済」のイメージが強いが、それ以外の場面でも活用できるとアピールした。

 来店客は「友人にあげるプレゼントが欲しい」という特定の目的のもと、専用アプリのECサイトで気になる商品の見当をつけているという設定。アプリで顔認証登録を済ませている顧客が来店すると、システム側がその姿を捉え、バックヤードに「重要顧客が来店した」と通知する。

 カメラが搭載された棚の前で数秒立ち止まると「商品を検討している」と判断し、販売員が接客したり、年代や性別などの属性を基にアプリへ通知を送ったりするアプローチが可能となる。販売員は購買確度が高い来店客に的を絞って接客することで、購買率の向上に加え、「見ているだけなので話しかけないでほしい」といった消費者のニーズに応えられるとしている。

 顔認証技術はスタンプラリーにも活用でき、店内の回遊促進が期待される。筆者がスタンプラリーを完了するとQRコードが表示され、スマートフォンで読み取ると「ラッピング100円サービスクーポン」を獲得できた。商品の決済や専用ロッカーでの受け取りも顔認証で遂行でき、生体認証技術は購買におけるさまざまなタイミングや目的で活用可能だと実感した。

 NECは1月、九州地方を中心にスーパーセンターを展開するトライアルホールディングスと協業し、店内の決済や施設の入場管理における活用を実証中だという。

 日立製作所(日立)は、質問に回答するとAIアバターがお勧めの商品を案内するデジタルポップアップストアを展示。来店客は「最近忙しいですか」「よく眠れていますか」といった質問に回答すると、AIアバターが回答結果やサイネージ付属のAIカメラで取得された属性情報を基に商品をレコメンドする。これにより、販売員を確保することが難しい小規模の小売企業も来店客に商品の魅力をアピールすることが可能となる。

 福岡県を拠点とする西日本鉄道(西鉄)は2023年12月~2024年3月、同社が運営する商業施設「ソラリアステージ」「ソラリアプラザ」に入居する5つのテナントで段階的にプレ運用を実施している。2023年12月~2024年1月に運用した手帳を販売するテナントでは、前年比120%の売り上げを達成したという。

 展示会場ではチョコレートやホテルギフトを扱う西鉄グランドホテルのテナントが再現されており、アバターによる質問に回答した結果、筆者には「プレミアムプリン」がレコメンドされた。「心理テスト」のように自分の状態に合った商品が提案され、楽しみながら買い物ができる印象だ。

 ECサイトの普及により、接客を受けることなく商品を購入することは珍しくなくなった。しかし、例えば商業施設の回遊時にポップアップストアを偶然訪れた時、商品説明を行う販売員がいなかったり少なかったりすると、購入の決定打に欠けてしまうことも想定される。AIアバターが商品の案内や説明を行うことで、来店客の滞留時間延長や販売機会損失の防止につながるかもしれない。

 西鉄は、福岡県に店舗がない企業やECのみで商品を販売する企業など規模や業態に関係なく自社の施設に誘致したいという思いのもと、テナント側の負担軽減につながる新たな出店形態を検討しており、2022年から日立とITを活用した実証実験に取り組んできたという(関連記事)。日立は今後、商業施設や百貨店を展開する企業に同ソリューションを提供するほか、オフィスビルやホテル、駅などのスペースの有効活用を計画している企業に提案することを検討している。

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