広がるAWS生成AIサービスの実務利用–AWSジャパン、生成AIの活用と開発を支援

今回は「広がるAWS生成AIサービスの実務利用–AWSジャパン、生成AIの活用と開発を支援」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は10月31日、Amazon Web Services(AWS)の生成AIアップデートに関する説明会を開催した。AWSの生成AIサービスを活用した実務課題の解決事例が広がっており、説明会では幾つかの活用事例も紹介された。

 AWSジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部 技術本部長の小林正人氏は、「AIは仕事を変革するゲームチェンジャーになり得る技術だとAWSは考えている」と説明し、AIを活用することでユーザーにさらなる価値を提供していくとした。

 AWSが実施したAIに関する意識調査によると、国内における雇用主の78%以上が2028年までにAI主導の組織になると考えているという。既に多くのユーザーがAWSを活用して生成AIを用いたビジネスの効率化に着手しており、幅広い分野や用途において実務課題の解決に役立っている。

 「レアジョブ英会話」を提供するレアジョブの、プロダクト企画・開発を行うレアジョブテクノロジーでは、生成AIアプリケーションの構築基盤「Amazon Bedrock」を活用して、オンライン英会話のレッスンレポート作成を自動化した。レアジョブ英会話は、講師がレッスン内容をテキストでフィードバックする「レッスンレポート」をサービスとして提供していたが、講師の負担が大きく、時間が取れない場合には十分なフィードバックができないという課題があった。

 レアジョブテクノロジーは、Amazon Bedrockを活用して一部のユーザーに「AIレッスンレポートβ」の提供・検証を開始。これにより、講師の業務削減や新たな顧客体験の創出ができるのではないかとしている。

 Amazon Bedrockを採用した理由について同社は、多くのトークンを処理でき、高精度に結果を出力できること。また、AWS上の自社インフラで完結する生成AIサービスの開発が可能になり、結果としてセキュリティやガバナンスレベルを下げずにサービスを提供できることを挙げた。

 ほかにも、専門家業務を支援する生成AIとして、特許分析ツール「Biz Cruncher」を提供するパテント・リザルトの事例が紹介された。同ツールは、既存の特許情報の参照ができ、重要特許の把握と分析をする機能を搭載している。しかし、特許の情報は膨大で、ユーザーは特許を読み解き、理解する事に多くの時間を費やしていたという。

 同社は、複雑な特許情報を迅速に解読できる生成AI機能を開発。特許情報から技術背景や課題、解決手段などの概要を要約する機能を「Claude3 Haiku」で実装し、図解を作成する機能を「Claude3.5 Sonnet」で実装した。これにより、ユーザーが1つの特許情報を読み解くためにかかる時間を約80%短縮できたという。

 また、生成AI技術の開発を加速する事例やクリエイティブなことに対して生成AIを活用する事例も広まっているという。ホームページ作成ツール「ペライチ」を提供するペライチは、事業者のホームページ作成を参考サイトURLを入力するだけで作れるページ生成AI「ペライチクリエイトアシスタント」を開発した。

 同社は、AWSの「生成AI活用開始プログラム」を利用して、ユーザーの課題を解決するユースケースの選択から実装までを一気通貫で実施。従来、外注では納品までに10営業日以上かかり、制作費として10万円以上のコストがかかっていたが、ペライチクリエイトアシスタントの実装により、11営業日以上の納期を要することがあるページ制作を約10分、かつ初期費用不要でできるようになったという。

 小林氏は、「生成AIに取り組む際に重要なことは『何を実現したいか』を考えること。生成AIは手段であって目的であるため、業務を容易にしたいといったイメージをすることが重要」と話す。このイメージを膨らませるために、AWSはポータルサイト「生成AI Contents Hub」を立ち上げ、AWSの生成AIサービスの概要や業界・目的別ユースケース、生成AIサービスの使い方などを発信している。

 ほかにも、生成AIを試しに利用して業務での活用を検討したいユーザー向けに「Generative AI Use Cases JP」(GenU)を提供している。チャットや翻訳、画像生成などさまざまなユースケースを用意しており、大規模言語モデル(LLM)を切り替えて使うこともできる。GenUは「GitHub」で公開されており、お試しだけでなくカスタマイズして業務の中で本番展開するユーザーも少なくないという。

 AWSジャパンは2023年に、LLMの開発を行う日本の団体・企業に対して「AWS LLM 開発支援プログラム」を展開。同社は引き続き生成AI開発の支援についても注力するとしている。経済産業省は、「GENIAC」(Generative AI Accelerator Challenge)を立ち上げ、生成AIの開発力向上や国内の用途に特化したモデル開発を進めている。AWSは、GENIAC第2期の計算リソース提供者として支援に参画し、モデル開発を行う20企業・団体のうち、13企業・団体がAWSを利用して基盤モデルの開発に取り組む予定だという。

 GENIACにおいてAWSは、GPUや「AWS Trainium」搭載インスタンスなどの計算リソースを提供するほか、環境の構築や高速ストレージの活用などを担当者が支援するという。また、グローバル展開を進めるモデル開発企業からのナレッジ習得機会を提供する。

 生成AI活用のさらなる支援について小林氏は、生成AIを活用して課題を解決したいユーザーのアイデアを迅速に実現できるようにする支援や、そのアイデアを膨らませる上で役立つユースケースの拡充をしていく必要があると説明し、続けて「お客さまが不安に感じている、悩んでいるポイントを理解して、解を出せるように取り組んでいくことも必要。われわれがやらなければならないことは非常に多いと思う」と語った。

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