アーム、新エッジAIプラットフォームを発表–AI革命さらなる前進へ
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アームは2月27日、新CPU「Arm Cortex-A320」(Cortex-A320)とエッジAI向けの主要なAIアクセラレーターである「Arm Ethos-U85 NPU」を組み合わせた「Armv9」ベースのAIプラットフォームを発表した。IoT向けに最適化し、10億以上ものパラメーターのAIモデルをデバイス上で実行できるとしている。
アーム 代表取締役社長の横山崇幸氏は「今回発表するのはクラウド側のAIではなく、エッジ側のAI。AIがここまで発展してきている中で、全てのAIをクラウド側で実行するのは非常に難しくなってきている。AI革命が急速に進む中、さらなる前進をするには、適切な場所で、適切なAIのワークロードの実行が、かつてないほど重要になってきている」とエッジAIの重要性を説いた。
発表したArmv9エッジAIプラットフォームは、エッジ側に効率性、セキュリティ、インテリジェンスを集結している点が特徴。2024年に発表した「Cortex-M85」ベースのプラットフォームと比較し、機械学習(ML)の性能が8倍向上しているという。
応⽤技術部ディレクターの中島理志氏は「トランスフォーマーベースの生成AIが登場し、それを応用する流れが加速している。今回発表したCortex-A320はArmv9のアーキテクチャーを採用したCPUの中でも最もコンパクトになっている。サイズは小さいが64ビット化することで、非常に大きなパラメーターモデルも利用できるようになる」と強調する。
Cortex-A320は、MLの性能を高めるため「SVE(Scalable Vector Extension)2」などのArmv9アーキテクチャーの特徴を活用し、前世代の「Cortex-A35」と比較し、ML性能は10倍、スカラー性能は30%向上できるとのこと。加えて、パイプラインを見直し、エネルギー効率の高いプロセッサーに仕上げた。上位モデルの「Cortex-A520」に比べ、約50%の消費電力で同じ処理ができるようになっているという。
「Armv9をIoT機器向けに利用する最大の利点は、強化されたセキュリティとAI演算性能。アーキテクチャーとしてさまざまなセキュリティ強化がなされており、ポインター認証(PAC)、分岐ターゲット識別(BTI)などにより、ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性をなくす方向に進んでいる」(中島氏)とする。
今後は、エージェントベースのAIアプリケーション用に調整された大規模言語モデル(LLM)と小規模言語モデル(SLM)を実行することで、エッジでのユースケースを拡大していく方針。「IoTの世界で最も重要なのはエッジAIではないかと考えている。数年前まではノイズを除去するフィルタリングや異常検知など、比較的シンプルな機能を持たせるもの多かったが、現在では、高度なユースケースの要求を満たすために、エッジ側でのワークロードが複雑になってきている。これを実行するには、今より高いパフォーマンスと優れた効率性が必要だと考えている。ファクトリーオートメーション(FA)やスマートシティー、スマートホームといった分野からも高いニーズが寄せられている」(横山氏)と幅広い分野から求められている現状を話した。