「Homebrew Computer Club」が結成50周年–PC時代を切り開いたガレージの集いを振り返る

今回は「「Homebrew Computer Club」が結成50周年–PC時代を切り開いたガレージの集いを振り返る」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 1975年3月といえば、ヒットチャートの1位はEaglesの「我が愛の至上」、興行収入トップの映画は「ゴッドファーザー PART II」、1番人気のテレビ番組は「オール・イン・ザ・ファミリー」だった。しかし、筆者が何より夢中になっていたのは、世界初のPCとされるMicro Instrumentation and Telemetry Systems(MITS)のマイクロコンピューター「Altair 8800」だった。夢中になっていたのは筆者だけではない。1975年3月5日、カリフォルニア州メンローパークにあるGordon French氏のガレージに電子機器の愛好家の小さなグループが集まり、Altair 8800を初めて目にした。この出来事は世界を永遠に変えた。

 このささやかな会合が世界を変える技術革命のきっかけになるとは、参加者らには知る由もなかった。French氏とFred Moores氏が創設した「Homebrew Computer Club」はすぐに、コンピューティング技術のイノベーション、コラボレーション、民主化の中心地となった。プログラマーや電気技師、コンピューター愛好家が集まったこの最初の会合には、Appleの共同創設者であるSteve Wozniak氏も出席していた。

 Wozniak氏はその会合でMITSとAltair 8800に触発され、独自のコンピューターの製作を決意。この動きの狙いは、マニア仲間たちに感銘を与えることだった。同氏は自叙伝「アップルを創った怪物 もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝」の中で次のように語っている。「Apple初の製品である『Apple I』『Apple II』コンピューターを設計したのは、自分が使いたいものがまだ存在していなかったからだ」

 後に、Wozniak氏の友人Steve Jobs氏がクラブの隔週の会合に加わった。この会合はアイデアと創造性の源泉となった。クラブはすぐにガレージに収まりきらない規模になり、それ以降の会合はスタンフォード線形加速器センター(SLAC)など、さまざまな場所で開かれるようになった。

 開催場所がどこであれ、集まったメンバーはパーソナルコンピューティングの最新の発展について語り合い、回路図を交換し、プログラミングのヒントを共有した。こうした知識やリソースのオープンなやりとりが、画期的なイノベーションの肥沃(ひよく)な土壌であることが証明された。

 Wozniak氏は後に次のように回想している。「コンピュータークラブがなければ、おそらくAppleのコンピューターもなかっただろう。われわれのシリコンバレーのクラブHomebrew Computer Clubは、この種のクラブの草分けの1つだった。1975年初頭の会合では、技術系の人々が大勢集まって、集積回路を交換していた。『Chips and Dips』(ポテトチップスとディップソース)というクラブ名にしてもよかったかもしれない。皆が同じような興味を持っていて、他の人を助けるために集まっていたが、公式なクラブではなく、堅苦しいものでもなかった」

 クラブ初の女性メンバーであるLiza Loop氏は次のように振り返る。「(クラブが)これほど成功した理由は2つある。1つは場所。シリコンバレーにあったことだ。もう1つは、自由な意見交換を促すカリフォルニア州のカウンターカルチャーだった」

 Wozniak氏は内気で、「Apple 1の最新機能のことしか話さなかった」としている。しかし、Homebrewの創設メンバーであるLee Felsenstein氏の記憶では、Wozniak氏は後の会合で「電源コンセントがある唯一の席を確保していた」という。

 Felsenstein氏は1981年に「Osborne」コンピューターを設計することになる。「CP/M-80」を搭載したOsborneは、初の「持ち運び可能な」ポータブルコンピューターだ。Wozniak氏は会合を振り返り、Felsenstein氏が「会合のたびに立ち上がって、『存在しないHomebrew Computer Club』の開催を発表すると、皆が喜んで拍手を送った」と語る。

 現在のシリコンバレーと異なり、これは非公式のグループであり、金銭目的ではなかった。この重要なポイントが変わっていくことになる。

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