“トランプ関税”で「iPhone」はどこまで高くなる?–専門家が米国での影響分析

今回は「“トランプ関税”で「iPhone」はどこまで高くなる?–専門家が米国での影響分析」についてご紹介します。

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 Donald Trump米政権が貿易相手国に対して発表した最新の貿易関税によって、人々は日々の生活がさらに苦しくなるのではないかと懸念している。

 発表で使われた特大ポスターボードに示されている関税を改めて確認しておこう。まず、やや曖昧な中段の列は、米国と各国との貿易赤字を商品のみで示しているように思われるため、いったん無視することにする。なぜならば、米国はサービス経済であり、ソフトウェア、サービス、エンターテインメントなどの無形資産を物理的商品よりも多く輸出しているため、この列自体は重要ではないからだ。また、米国が貿易でいかに不利な扱いを受けているかどうかを示すために使われているようだ。

 まず、中国がリストのトップに位置しており、34%の「割引相互関税」が課されている。身の回りの所有物をよく見てみると、その多くが中国製であることが分かるだろう。リストを少し下に見ていくと台湾があり、32%の関税が課されている。

 これが注目に値するのは、2つの理由がある。まず、「Made in China」と印刷された多くの製品には、台湾製の電子部品が含まれているということだ。もう1つの理由として、中国共産党(CCP)は台湾を独立した国とは考えておらず、台湾を将来的に中国が支配すべき省の一部だと考えている。そのため、このリストに台湾の名前があることを不快に感じているだろう。

 この議論に関連する他の2つの国は、インドとベトナムであり、それぞれ26%と46%の関税が課されている。

 TF International Securitiesのアナリストである郭明錤(ミンチー・クオ)氏は、「X」への投稿でこの状況を解説している。

 クオ氏によると、Appleのハードウェア組み立ての約85~90%は中国で行われており、残りの部分はインドとベトナムで行われている。もしAppleが関税によるコスト増加分を吸収し、製品価格を据え置いた場合、同社の全体の粗利益率は推定で8.5~9%も大幅に低下する可能性がある、ということである。

 同氏は、中国が関税免除のためにTrump政権から何らかの譲歩を引き出す可能性は低いとほぼ断言しているが、悲観する必要はないと述べている。2025年末までにiPhoneの世界生産の少なくとも15%がインドに移管されると予測しており(2024年は10%から12%に増加)、インドとベトナムが関税免除を確保できる可能性が高いことを考慮すると、粗利益率の低下は5.5~6%程度に抑えられるだろうとしている。

 加えて、Appleにはまだ関税の影響を軽減する余地があると考えている。同社はサプライチェーンのメーカーにコスト削減を強く求めたり、キャリアの補助金や下取り割引を減らしたりすることもできる。これらの対策はいずれも、値上げの影響を和らげたり、完全に相殺したりするのに役立つだろう。

 これらの関税によってAppleの粗利益率が40%を下回ったとしても、その下落は一時的なものであり、長期的には利益率を40%以上に回復できるとしている。

 また、新型iPhoneの販売台数の約70%はハイエンドモデルであり、これらのハイエンドユーザーは値上げを受け入れやすいと指摘している。

 例えば、各国が関税の例外措置を得るのはどれほど容易あるいは困難であるか。また、Apple自身が例外措置を交渉できる余地はあるのか(結局のところ、同社は米国および世界最大の納税者であり、最高経営責任者〈CEO〉のTim Cook氏はTrump大統領の就任式基金に100万ドルを個人的に寄付している)など、不明な点がある。

 また、これらの関税が世界経済にどのような影響を与えるのか、全く予測がつかない。本稿執筆時点でも、中国は米国に対して34%の報復関税を課し、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム(磁石や固体電子機器の製造などに使用される)を含む7種類のレアアースの輸出規制を発表した。そして、これは反撃の始まりに過ぎないかもしれない。

 世界が本格的な貿易戦争に突入すればするほど、次のiPhoneの価格が上昇する可能性が高まる。問題は、価格がどの程度上昇するかということだ。これらはまだ、中国と台湾間の緊張の高まりや、紛争が文字通り世界的な半導体市場を混乱させる可能性を考慮に入れていない。

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