関税不安の中でも「Mac Studio」を買って満足している理由
今回は「関税不安の中でも「Mac Studio」を買って満足している理由」についてご紹介します。
関連ワード (オフトピック等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
「May you live in interesting times(興味深い時代を生きられますように)」は、しばしば中国の呪いとして引用される言葉である。実際には、この言葉は1936年に駐中英国大使を務めたヒュー・ナッチブル=ヒューゲッセン氏に由来する。1949年に出版された著書「Diplomat in Peace and War」の中で、同氏はこの言葉を友人の言葉として引用している。
この言葉の皮肉なところは、「興味深い時代」という表現は聞こえは良いが、実際には、誰かに「トラブルや不安定な時代を生きろ」と暗に願っているように解釈できることだ。
私たちは、まさに「興味深い時代」を生きている。
ご存じの通り、関税は経済ニュースのトップを飾っている。米国在住の妻と筆者は、これまで長い間、不況や経済不安の時期を幾つも乗り越えながら、一緒に小さなビジネスを経営してきた。筆者は「The Flexible Enterprise」という本を書き、特に経済情勢に対応できる、機敏なビジネスの運営方法について論じてきた。
関税問題についてはかなり注意深く追跡してきたが、中国が125%の関税を課されたというニュースは、今日の計画会議の議題のトップに上がった。他の国々にも関税が課されたことは懸念材料であり、なぜなら、こうした広範囲にわたる経済の変化に対してベンダーがどう対応するのか分からないからだ。
関税がいつまで続くのか、また関税が撤廃されたとしても価格上昇が続くのかどうか、私たちはまだ分からない(注:直近では、米国は関税の適用を90日間停止すると発表。これに伴い、一部の国への関税率は10%に引き下げられた一方、中国に対する関税率は104%から145%へと引き上げられた)。
筆者はトルコのベンダー、Edelkroneから多くのロボットモーションコントロール機器を購入している。トルコに対する関税は10%だが、同社は追加された税率を顧客に転嫁しないために、そのコストを負担するという対応をしている。消費者としてはありがたいが、筆者はこの会社が心配だ。ニッチな製品を扱う小規模な会社で、商品のコストも高い。このような利益率の低下にどれだけ耐えられるかは不明だ。
そして、Appleの話になる。Appleは多くの国で製品を生産している。筆者のメインの制作マシンである「Mac Studio」はマレーシアで生産されているかもしれないが、多くの部品やレアアース鉱石は中国から来ている。マレーシア製品は24%の関税が課せられている。
筆者の「M1 Max」ベースのMac Studioは、そろそろ老朽化してきたようだ。ビデオ制作や3Dモデリング中に動作が遅くなることがあり、先月は3Dプリント用に複雑なモデルを修正しようとしたところ、マシンが遅すぎて使い物にならなかった。
それでも、Appleが3月に新型Mac Studioを発表したとき、筆者は待つことにした。アップグレードに5300ドルも支払う前に、自分の小規模ビジネスの財務状況がどうであったかを確認したかったのである。
しかし、関税の問題もある。
妻と筆者はこの件について話し合った。新しいマシンが必要なことは分かっている。はっきりさせておこう。これは趣味や追加の購入ではない。筆者はメインのデスクトップマシンで生計の大半を立てている。確かに、「Windows」や「Linux」などのマシンも幾つか持っているが、日々の制作収入はMac Studioを使って生み出されている。Mac Studioは筆者にとってミッションクリティカルなデバイスだ。
5300ドルは大金なので、当初はアップグレードを遅らせようと思った。あと半年くらいは何とかなるだろうと考えたのだ。この戦略は、新しい関税が課される前は理にかなっていた。