日本マイクロソフト、ヘルスケア分野のオンライン化などを推進
今回は「日本マイクロソフト、ヘルスケア分野のオンライン化などを推進」についてご紹介します。
関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
日本マイクロソフト2月18日、ヘルスケア分野の取り組みに関する説明会を開催した。
説明を行った業務執行役員 パブリックセクター事業本部 医療・製薬営業統括本部長の大山訓弘氏によると、ヘルスケア分野ではクラウド利用が広がっており、その賛同パートナー数も増加傾向にあるという。2019年度は30社、2020年度は44社、2021年度は61社と増えている。
内訳を見るとAI(人工知能)/MR/スタートアップでは12社、電子カルテや医療機器を扱う業界特化型パートナーは27社、ヘルスケア系ITパートナーは22社となる。「医療機器メーカーやヘルステックに類するスタートアップ企業との連携を強化した。ITの文脈では付き合いのなかったパートナーも加わり、(医療DX実現に)大きな存在となる」(大山氏)と、エコシステムの拡大に継続して取り組むとした。前年度の国内ヘルスケアクラウド市場で同社はパートナーと2倍の40億円以上のビジネスを実現したという。
また、2020年4月に厚生労働省が新型コロナウイルス感染症対策として、初診・再診患者に対する遠隔診療の時限的措置を発した。遠隔診療自体の制度化は2018年3月だが、コロナ禍以前は全体のレセプト(診療報酬請求明細書)件数(月間約1億枚)に対して、遠隔診療料算出回数は100回程度(2018年4月時点)だったとされる。
現在は前述の時限的措置に加えて、指針の一部改訂(2020年7月)や初診の遠隔診療を考慮した指針改定を2021年秋頃に実施する。説明会に登壇したインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏は、初診患者の扱いについて「事前にトリアージ(緊急度に応じた優先順位付け)をして、オンラインと対面を分ける仕組みが検討されているものの、個人的には医師が診察して判断すべきと思う。その意味で(実現は)難しい部分がある」と見解を述べた。
それでも遠隔診療の需要は大きい。デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーが2020年8月に発表した調査結果によれば、コロナ禍で48%の患者が、「なるべく通院は控えたい」と回答。同調査では遠隔診療の認識率が43.9%に上るものの、実態は「国内約11万の医療機関で遠隔診療を実施しているのは約15%」(武藤氏)という。ただ、実際に遠隔診療を受けた患者の評価は高く、「医師と対面で会話できるのは大きい。これまで医師は電子カルテに向かい、ほぼ患者を診(見)ていない」(武藤氏)との声が寄せられたという。
国内で遠隔診療が普及しない理由として武藤氏は、「コロナ禍でようやくイノベーター(革新者)からアーリーアダプター(初期採用層)に広まったが、日常診療内で普通の医師が使ってもらわなければならない。診療報酬(の改善)や規制緩和が必要だ。他方で医師も変わりつつあり、患者が遠隔診療を臨む『ユーザードリブン』が起きている。ただ、映像で会話するだけの遠隔診療は医療診察の一部分で、疾病管理に役立つことを証明しないと、大病院など(に遠隔診察)は受け入れられない。さらに医療現場のデジタル化が進んでおらず、遠隔診療だけ進めても意味がない。デジタル庁発足をはじめとする社会的変化で解決していくだろう」と、遠隔診療にまつわる諸課題を挙げた。
マイクロソフトの大山は、同社の取り組みを「医療機関・医薬品企業」「患者」「住民・社会全般」に分けて説明。医療機関・医薬品企業向けには、Microsoft Teamsを感染症治療やカンファレンスのオンライン化に活用するためのシナリオを推進し、既に亀田メディカルセンター、戸田中央医科グループ、国立国際医療研究センター、倉敷中央病院、大津赤十字病院、福井県済生会病院などが導入している。また、活用事例をまとめた冊子「医療者向けTeams活用シナリオブック」「医療者向けTeamsで始める院内感染軽減対策のすすめ」の無償提供も新たに始めた。
また同社は、2020年12月に新型コロナウイルスワクチンの管理基盤「VARS(Vaccination Registration and Administration Solution:ワクチン接種の登録および運用のためのソリューション)」を発表し、海外を中心に2021年2月から提供している。VARSは、Microsoft Dynamics 365とMicrosoft Power Appsなどを組み合わせて開発され、ワクチン接種者に対する通知や予約、予約情報を元にした在庫管理やサプライチェーンへの連絡機能などをモジュール単位で実装している。大山氏は、「自治体向けと委託を受けた民間企業向けを想定したソリューションを用意した。他社サービスとの連携も検討中で、個別相談を開始している」とした。
医療関係者向けと患者向けには「オンライン診療マニュアル」を4月から無償提供する。既に順天堂大学と遠隔地にいる患者の3次元動作情報を遠方にいる医師のMicrosoft HoloLensに投影し、患者が目の前にいるかのように診察できる「Holomedicine」の共同開発を進めるほか、SIEMENS Healthinessの「teamplay digital health platform」を基盤にして画像診断や放射線治療計画を支援する「AI-Rad Companionship」を開発、2月時点で約500施設への導入準備を終えている。
住民・社会全般に対しては、新型コロナウイルスの感染を疑われる患者向けトリアージボットや、メンタルヘルスに関する診断ボット、医療予約に関するトリアージボットなど医療向けテンプレート化した「Healthcare Bot」の各サービスを1月に開始した。2020年7月に発表した医療データ対応のフルマネージド型API「Azure API for FHIR」の機能拡張として、オープンソースのDICOM(医療デジタル画像とコミュニケーション)と連携し、医療画像の取り込みを可能にした点も強調した。
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