「パートナー重視」を掲げるWasabiの脇本日本代表
今回は「「パートナー重視」を掲げるWasabiの脇本日本代表」についてご紹介します。
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クラウドストレージサービスを提供するWasabi Technologiesは8月、日本法人のカントリーマネージャーに脇本亜紀氏が就任したと発表した。Wasabi Technologies Japan 取締役社長の脇本氏に同社のサービスや最新動向について聞いた。
脇本氏はこれまで、ソーラーウインズ・ジャパンをはじめ、CA Technologies、Citrix Systems、Adobe Systems、Pulse Secure JapanなどのITベンダーで数々の重職を歴任。Wasabi Technologiesについては、「クラウドのストレージサービスはシンプルで使いやすく、安くなくてはいけない」とする同社のビジョンに共感して参画を決めたと話す。
Wasabi Technologiesは、米国マサチューセッツ州ボストンに本社を構えるクラウドストレージベンダーで、2015年の創業以来、4万5000社ほどの顧客を抱えている。9月27日には新たに2億5000万ドルの資金調達を完了したと発表。これによって企業価値は11億ドルを超え、ユニコーン企業の仲間入りを果たしたという。
Wasabiは、Amazon S3互換のオブジェクトストレージサービスになる。脇本氏はサービスの特徴として「安価・高速・安全」の3つを挙げる。さらに、データ転送料やAPIリクエストが無料である点も強調し、Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftなどが提供する競合サービスと比べて利用料が5分の1という低価格を実現している。
「ハイパースケーラーは予測不能で高額なエグレス料金(データ出力にかかる費用)をユーザーに課しており、これはロックイン戦略の一部となっている」と脇本氏は指摘する。
また、同社独自のテクノロジーで実現した高速ファイルシステムと高度に分散されたアーキテクチャーによって、競合サービスよりも高速で、エクサバイト規模のストレージを提供する。セキュリティ面では、ランサムウェア対策としても注目される改ざん耐性の高いイミュータブル(不変)ストレージ機能なども実装している。「耐久性と可用性についても、ハイパースケーラーとそん色のないレベル」(脇本氏)という。
WasabiはAmazon S3およびIAM APIを完全にサポートする。ストレージもアクセス管理もAWS APIに完全に準拠し、AWS S3で使用しているアプリケーションの変更も不要という。脇本氏は「サードパーティーのAmazon S3互換アプリまたはプラットフォームは全てそのままWasabiで動作する」といい、「AWSのユーザーであれば、Wasabiへの乗り換えは極めて簡単」と話す。
脇本氏は、同社の戦略としてパートナー重視の姿勢を示した。特にテクノロジーアライアンスパートナーは、バックアップソフトベンダーやストレージアプライアンスメーカー、マネージドサービス事業者(MSP)を中心に350社を超え、Wasabiのストレージサービスを組み合わせたソリューション提供で重要な役割を担っている。
「ワサビを差し出されて、ワサビだけを食べる人はいない。われわれはワサビとして非常にスパイスの効いた存在でありつつ、テクノロジーアライアンスパートナーと一緒にきちんとしたソリューションを作って、お客さまに提案することを重視している」(同氏)
日本のパートナー企業については、NTTコミュニケーションズ、ダイワボウ情報システム、ネットワールド、マネージドサービスプロバイダー(MSP)5社が名を連ねている。世界で13リージョンのデータセンターを展開しており、日本には東京と大阪の2リージョンが存在する。2023年末には20リージョンまで増やす計画である。
現在のユーザーの主な利用目的は、データのバックアップ&リカバリーとアーカイブが半分を占めるという。コンテンツ配信や監視カメラのデータ保存先としての利用も増えてきているとのこと。米大リーグ(MLB)のBoston Red Soxが同社のユーザーであり、試合のビデオ、選手の写真、選手のパフォーマンスデータ、Salesforceに統合された観客データ、チケット情報、アプリの情報、球場に数百台設置された監視カメラのデータ、球団の業務データなど、球場内外で発生する全てのバックアップデータをWasabiに保存しているという。