日本企業のコンタクトセンター、AI導入率が約50%に–成果創出には苦戦
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デロイト トーマツ グループは8月8日、世界各国のコンタクトセンターを対象にした調査「2023 グローバルコンタクトセンターサーベイ」を公開した。現在の課題への対応指針や今後数年間のビジネス動向などをまとめている。
これによると、人工知能(AI)を導入済みとする企業の割合は海外で44%、日本で49%だった。しかし、AIの主な用途であるチャットボット/ボイスボットについて、約半数のコンタクトセンターが成果創出に苦戦していることが明らかになった。
AI導入済企業の割合は2年前と比べて大きく伸びている。生産性の向上に加え、顧客との関係構築や新たな顧客体験の提供などAI活用への期待は高まっているものの、使い方の巧拙が課題になっているようだ。
同調査は2013年から隔年で行っており、2019年から日本企業も対象となっている。今回は2022年11月~2023年2月に、世界のさまざまな業界のコンタクトセンター幹部を対象に実施された。
デロイトは成果創出に苦戦している理由について、解決率やカバー率が比較的高い用件・領域を対象に、想定効果の高い順にユースケースとして選定できていないことや、投資の膨張・予算超過を防ぐために、定量的な重要業績指標(KPI)を設定・評価できていない点を挙げている。
こうした課題に対し、同社は「価値が増大するユースケースの選定」「KPI設定と評価」「業務変革」「テクノロジーと人材の融合」「チェンジマネジメント」という5つのアクションを提言している。
日本企業の63%は、「顧客体験(CX)向上」をコンタクトセンターにおける重要戦略に据える一方で、投資の重要領域の上位は「セルフサービスの拡大」(38%)や「インフラ刷新」(31%)、「チャネル拡大」(14%)が占めており、傾向として自己解決率の向上に寄与する施策が目立つ。
一方、米国を中心とした海外企業では、日本企業の上位2項目で同様の投資傾向は見られるものの、全くの別軸で「オペレーター支援機能の導入」(11%)への投資を広げており、人材の観点からCXを向上させるというアプローチに取り組んでいる。
受付チャネルについては、2021年の調査と比較し、問い合わせ全体に占める電話チャネルの割合は日本が58%(前回から20ポイント減)、海外が57%(同5ポイント減)と、いずれも60%弱の水準まで低下した。
同社によれば、2年後に向けて引き続きデジタルチャネルへのシフトが意欲的に進められる計画ではあるが、海外では電話チャネルの縮小が減速しており、新たな手立てを講じなければ日本でも電話比率が下げ止まる可能性があるという。