自動化で1200万人の雇用が失われる可能性?リスクの高い職は–欧州
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Forrester Researchによれば、今後20年の間に、最大で欧州の雇用の3分の1が余剰な人員になる可能性があるという。これは企業が、自動化を進めることで、生産性を向上させると同時に、労働人口の高齢化で生じるスキルギャップを埋めようとするためだ。
IT業界が専門の調査会社であるForrester Researchは、最近発表したレポート「Future of Jobs Forecast」で、2040年までに、自動化の進展によって欧州の主要5カ国(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国)で最大1200万人分の雇用が失われると予想している。影響が大きいのは、小売業、飲食業、レジャー・ホスピタリティ産業などの労働者だ。
レポートでは、自動化によって失われるリスクが高いのは、単純な繰り返し作業で構成されている、中程度のスキルしか必要としない仕事だと述べている。この種の仕事は、ドイツの労働力の38%、フランスの労働力の34%、英国の労働力の31%を占めている。
Forresterによれば、欧州主要5カ国で合計4900万人分の仕事が自動化される可能性があるという。このことは、英国に多い「ゼロ時間契約」や、労働者が交渉力をほとんど持たない低賃金のパートタイムの仕事などの非正規労働を危うくすると見られる。
企業は、さまざまなプレッシャーを受けて自動化への投資を活発化させており、特に工業、建設業、農業が盛んな国でその勢いが増している。
Forresterは、欧州の雇用の3分の2は従業員数が50人以下の中小企業が担っているが、これらの企業では生産性の向上が大企業よりも遅れていると述べている。例えば製造業では、零細企業の生産性は大企業より40%も低い。
フランスの製造会社を対象として実施された、この5年間のロボットの導入に関する調査では、ロボットによって人件費は4~6%下がり、生産のオーバーヘッドが減少したことが明らかになった。
またビジネスリーダーは、自動化技術を欧州人口の高齢化によって生じる人材の穴を埋める手段として見ており、Forresterは、この労働人口の減少を「人口動態の時限爆弾」と表現している。2050年には欧州の主要5カ国で、労働人口は2020年よりも3000万人減少するという。
企業は、コロナ禍による生産性の低下を機械処理によって取り戻そうとしている一方で、すでに売上高を増やすために自動化を活用している企業では、テクノロジーに対する投資をさらに増やすことで、サービスの提供量を増やし、コロナ禍から受ける制約を和らげようとしている。