成長が鈍化したZoomは今後も存在感を示し続けられるか
今回は「成長が鈍化したZoomは今後も存在感を示し続けられるか」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
直近の四半期決算で成長スピードの鈍化が明らかになった米Zoom Video Communications(以下、ZVC)。今後も確固たる存在感を示し続けられるか。日本法人ZVC Japanの首脳陣に聞いてみた。
コロナ禍でのリモートワーク拡大で急速に普及したウェブ会議ツール「Zoom」。これをクラウドサービスとして提供するZVCはこの2年余り、急成長を遂げてきた。そんな同社が先頃発表した2022年2〜4月期決算は、売上高が前年同期比12%増の10億7380万ドルと増収だったものの、2019年の上場以降で最も低い伸び率となった。時価総額は2020年10月のピーク時に比べて8割余り減少し、コロナ感染が世界で本格的に広がる前の2020年2月の水準に戻った。
この成長スピードの鈍化に対し、上記の決算を報道したメディアでは「消えるコロナ特需」といった見出しも躍った。コロナ禍はまだ続いているが、ワクチン接種の浸透や感染対策が定着してきたことからオフィスワークに回帰する動きもある中で、Zoomの需要はこれからどうなっていくのか。
そんな折、ZVC Japanがサービスの機能強化について記者説明会を開いたので、その会見に登壇した同社の首脳陣である代表取締役会長の下垣典弘氏と社長の佐賀文宣氏に、成長スピードの鈍化についての見解を聞いてみた(写真1)。
ちなみに、会見で説明があったサービスの機能強化とは、Zoomと連携して使えるクラウド電話サービス「Zoom Phone」において、固定電話で使用されている10桁の地域固定電話番号「0ABJ」をネイティブで利用できるようになったというものだ。内容については発表資料をご覧いただきたい。
また、佐賀氏が日本でのビジネス状況や今後の戦略について説明していたので、本題の前に少し紹介しておこう。
同氏はZoomの利用状況について、「毎日の延べミーティング参加者数は300万人。この数字は、コロナのパンデミック(感染症の世界的大流行)でパニック状態になり、リモートワークの必要に迫られた時期を越えてからこの1年余り、ほぼ変わることなく推移している。LINEの利用者数のように毎日3000万人とはいかないが、ビジネスに使われるアプリケーションとしては他に類がないと自負している」と胸を張った(図1)。
また、同氏はZVC Japanの今後の重点戦略として、図2に示す6つを挙げた。そのうちの一つである「クラウド電話サービス提供による共通コミュニケーションプラットフォームの実現」というのが、今回機能強化を発表したZoom Phoneの展開によるものである。