Box Japan、日本進出10周年の事業戦略を発表–成長の第2段階を目指す
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Box Japanは5月18日、2024会計年度(2024年1月期)の事業戦略を発表した。日本進出10周年を迎え、コロナ禍でのオンライン需要の獲得に大成功したとし、成長の第2段階を目指すとした。
記者会見した代表取締役社長の古市克典氏は、まず2023会計年度(2023年1月期)の事業成果を振り返り、三菱重工やスズキ、アイシンなどの大手製造企業を新規顧客として獲得に成功したと報告。古市氏によれば、これらの企業はこれまで「Box」のようなクラウドサービスの導入に慎重だったが、風向きが変わり「(Box導入の障壁が下がって)キャズムを超え始めた」(古市氏)と手応えぶりをアピールした。
同社の業績は9年連続で成長しているといい、各種サービス機能を追加購入する顧客の増加に伴う販売増に加え、全機能を使える「エンタープライズプラス」ライセンスの購入比率が6割を占めるという。「エンタープライズプラスが圧倒的に売れている。しかし、グローバルの比率は8割以上で、さらに高めたい」(古市氏)という。
また、Boxサービスの活用促進を支援するコンサルティングサービスの顧客も順調に増え、年間契約の更新率が97%に上るという。国内顧客数は1万5000社以上になり、日経平均株価対象銘柄(日経225)の導入率は69%に達した。
古市氏によれば、同会計年度のグローバル収益は9億9100万ドル(約1363億円)で、このうち19%(約259億円)をBox Japanが占める。ただ、2022年は円安ドル高が進んだため、「最終的なドル換算ではどうしても円建ての収益が圧縮されてしまう」(古市氏)と、為替の影響で日本の収益貢献が小さく見えてしまうことを悔やんだ。
2024会計年度の事業戦略は、好調な前年度実績を弾みにさらなる成長を狙う。顧客が単にBoxでコンテンツデータを保存、共有する使い方だけでなく、電子サインの「Box Sign」といった各種機能でデジタルベースの業務プロセスの構築、整備していくなどの利便性と高セキュリティを訴求する。
顧客獲得では、大手製造企業もBoxを導入するようになった流れを踏まえ、2024会計年度はより保守的だという官公庁と自治体、金融機関を重点的に開拓し、地方企業や中小企業の顧客候補にもリーチしたいとする。
古市氏の次に登壇した専務執行役員の佐藤範之氏は、みずほグループ(金融)と埼玉県(自治体)などが新規顧客になったと明かした。エンタープライズプラスライセンスの顧客比率をさらに高める上で、「ユーザーのデータを日本国内に保存できるサービスを4年前に開始しており、こうした取り組みを金融や自治体に訴求していく」(佐藤氏)とした。
記者会見には米国からBoxの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるAaron Levie氏もオンライン会議システム経由で参加。米国時間5月2日に発表した「ChatGPT」のAPIを利用する新サービス「Box AI」をアピールした。
Box AIは、同社とOpenAIの提携で実現するサービスといい、まずはプレビューとして9日に公開されたばかり。対話型のユーザーインターフェースを使って、Box環境内にあるさまざまなコンテンツデータからユーザーのほしい情報の要約を数秒程度で回答したり、「Box Note」機能と連動してAIにコンテンツを作成させたりできる。
Levie氏は、Box AIでは顧客がAI利用で懸念するセキュリティやプライバシー侵害に最大限対応した上で、AIを全てのBoxの機能に実装していくと説明。Box AIで企業や組織のコンテンツデータの活用スタイルが劇的に変化すると強調した。