レッドハット新社長が示してみせた「徹底した顧客視点」の意味
今回は「レッドハット新社長が示してみせた「徹底した顧客視点」の意味」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、レッドハット 代表取締役社長の三浦美穂氏と、富士通 執行役員 EVP CHROの平松浩樹氏の発言を紹介する。
米Red Hatの日本法人レッドハットは先頃、都内ホテルで開催した年次カンファレンスに合わせて事業戦略について記者説明会を開いた。冒頭の発言は、7月に代表取締役社長に就任した三浦氏がその会見で、同社のビジネスの特徴について述べたものである。
「レッドハットならではのカルチャーを引き継いで、オープンハイブリッドクラウドのテクノロジーで日本の皆さまのビジネスをお手伝いしていきたい」
三浦氏は会見の冒頭で、レッドハットの経営トップとしての基本姿勢をこう述べた。会見の内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは同氏の冒頭の発言に注目したい。
筆者が今回のレッドハットの会見で注目したのは、いずれも三浦氏が提示しながら説明した2つの図だ。
「お客様は、アプリケーションに集中してください」とのメッセージを掲げた図1については、「Red Hatのオープンハイブリッドクラウドを実現するソリューションによって、アプリケーションの開発に必要な機能を1つのプラットフォーム上でシンプルに利用できるようになる。それによって、素早いアプリケーションの開発や配備、メンテナンスが可能になる。さらに、AIを活用して高度な自動化も図ることができ、お客さまは重要なアプリケーションの開発にますます集中していただけるようになる」(三浦氏)と説明した。
また、「お客様の『組織文化の変革』に貢献する」とのメッセージを掲げた図2については、「Red Hatはテクノロジーの開発について、『みんなで良いものを作り上げていこう』という『オープンソースウェイ』のカルチャーがある。このカルチャーをお客さまが取り組んでおられるDevOps(開発と運用の連携)に実装していただき、このアクションから組織文化の変革へと広げていっていただくことができる。すなわち、当社は製品やサービスだけでなく組織文化のお手伝いもできる。それを私たちの強みとして、お客さまにお役に立てるよう尽力していきたい」(同)と説明した。
筆者がこの2つの図を取り上げたのは、これまでのレッドハットの会見では目にすることのなかった姿勢を感じたからだ。テクノロジー企業なのでテクノロジーの説明が先に立つのは当然のところがあるが、これまでの同社の会見は事業戦略の話であってもエンジニアがエンジニアに説明するような内容で、ビジネスやマネジメントサイドの人たちにとっては難解な内容だった。
ここ数年の会見では、そうした意識を持ったメッセージも少しは聞けるようになってきた印象があるが、今回、三浦氏が「お客様は」「お客様の」で始まる図を2つ示したことは非常に新鮮だった。同氏の「徹底した顧客視点」が感じられた。
筆者は三浦氏を以前から存じ上げているが、今回の会見でもその明るさと物腰の柔らかさをいかんなく発揮しておられた印象だ。難解なテクノロジー企業がやっていることを今後もどんどん分かりやすく発信していってもらいたい。