データ駆動型ビジネスの台頭–全てがデータ化される社会の到来とビジネス機会
今回は「データ駆動型ビジネスの台頭–全てがデータ化される社会の到来とビジネス機会」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、デジタルジャーニーの歩き方等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
今日では、あらゆる情報がデジタルデータとして収集できるようになっています。収集されたデータは、保存されるだけではなく、分析や予測に活用されることで、利用者の利便性が高まったり、新しいサービスが生まれたりして、現実の社会にフィードバックされ、新たな市場やビジネス機会を創出しています。
私たちは今や、普段の生活の中でさまざまなデータを生み出しています。駅の改札を通る、コンビニでスマートフォン決済をする、といった行動のたびにデータが生み出され、どこかに保存されています。今後、生活者の衣・食・住、交友関係、健康状態、購買・移動などの行動に関わる情報だけでなく、気象、交通、災害などの社会環境に関わる情報、企業における事業や業務に関わる営みなど、あらゆる情報がデジタルデータとして収集できるようになっていくでしょう。
収集されたデータは、保存されるだけではありません。これらのデータが分析や予測に活用されることで、利用者の利便性が高まったり、新しいサービスやビジネスが生まれたりして、現実の社会にフィードバックされていきます(図1)。
例えば、歩数、脈拍、心拍数、体温などの生体情報を活用した、健康増進アプリや生命保険商品などが開発されています。また、車載機器から運転状況のデータを収集して自動車保険料の算定に活用する、といった新たなビジネスモデルを創出した事例も多数存在します。「Google」や「Facebook」などのプラットフォームは、現時点で利用者の検索や投稿などに関する膨大なデータを保有しています。AmazonなどのEC事業者や仲介サイトにも、利用者の購買・利用・移動などのデータが蓄積されています。
今は、そうしたデータのほとんどが、製品・サービスの推奨や広告などのマーケティング目的で活用されていますが、今後はより快適に暮らせるように、生活者やさらには社会・地球に還元するためにデータが収集されるようになるでしょう。河川の水位もダムの貯水量もIoTによってリアルタイムに捕捉できます。データとデジタル技術によって、地球環境、食糧問題、パンデミック、防災、過疎地の移動難民などのさまざまな社会課題を解決することができると期待されています。それは、「価値や便益がより多く提供されたところに集まる」という特性がデータにあるからにほかなりません。
デジタル化されたデータそのものが、自社だけでなく、他社や他業種の企業に対して価値を生み出すこともあります。データを自社ビジネスの優位性向上のために活用するだけでなく、データやその分析結果を有償で販売するというビジネスモデルにも注目が集まっています。付加価値のあるデータを有償で提供することは、出版社や新聞社、企業情報データベース事業者などが以前から行っているビジネスモデルです。株価に影響を及ぼす企業情報や市況データや、売り上げを左右する地域気象情報などは、希少性や有益性が高いことから有償で販売されてきました。
しかし、昨今では、一般の企業が、従来の事業を展開する過程で自社内に蓄積されるデータや独自に収集したデータを他社に有償で提供することで、新たな収益源を獲得しているケースがあります(図2)。
自社にとっては有用とは思われなかったデータが、取引先や異業種の企業にとっては非常に有益で、対価を支払ってでも手に入れたいと考えるケースは珍しくありません。例えば、自動車や電気機器などの最終製品のメーカーの生産計画のデータは、それらの企業に部品や素材を納入するメーカー(川上側)にとっては需要動向が分かる重要なデータであり、また出荷計画のデータは、販売店(川下側)にとっては重要な入庫情報といえます。
鉄道やバスの曜日別や時間帯別の乗降者数のデータは、沿線の店舗にとっては繁忙を左右する重要なデータです。プラットフォームに蓄積されたデータや、官公庁や研究機関が公開するオープンデータを、分析・加工するなどして付加価値を高めて提供するビジネスも考えられます。