マネーフォワード、「クラウド会計」とオンラインの売掛債権買い取りと連携
今回は「マネーフォワード、「クラウド会計」とオンラインの売掛債権買い取りと連携」についてご紹介します。
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マネーフォワードは3月3日、自社のクラウド型統合基幹業務システム(ERP)の「マネーフォワード クラウドERP」の機能強化を発表した。SaaS×Fintechの成長戦略として、他社のオンラインでの売掛債権買い取り(ファクタリング)サービスとの連携、送金プラットフォームの提供予定も発表した。
マネーフォワード グループ執行役員 マネーフォワードビジネスカンパニーCSO 山田一也氏は「バックオフィス事業はグループ全体で売り上げ69%を占める規模に成長した。また、グループシナジーを創出する観点からファイナンスドメインの事業」に注力すると今回の発表理由を説明する。
昨今のERP市場は新制度導入や法改正に伴い、新たな動きが生じている。
マネーフォワードが法人企業702人を対象に、2022年12月23日から1週間実施した調査結果によれば、電子帳簿保存法(電帳法)の改正やインボイス制度がバックオフィス業務のデジタル化を促進する機会になり得るかと尋ねたところ約6割が「同意」。Boomi Japanが2021年6月に発表した調査レポートでも、世界94%の企業が“コンポーネントERP”戦略を採用し、「コンポーネント型ERPを採用する企業が(国内を含めて)増加中」(山田氏)である。
ここでいうコンポーネント型ERPとは、「コンポーネント=部品」を業種や利用部門に応じて取捨選択するスモールスタート型のERPだ。クラウド利用が前提となる昨今なら“統合型ERP”より優先順位の高い選択肢だが、コンポーネント型と統合型を比較するとコンポーネント型が独立する、もしくは利用部門は分散する場合、全体を把握するためのリアルタイム性に欠けてしまう。
そこでマネーフォワードは個別原価管理の「マネーフォワード クラウド個別原価」(MF個別原価)や中堅企業や上場企業向けの「マネーフォワード クラウド会計Plus」(MF会計Plus)のプロジェクトデータが内包するプロジェクト管理マスターを相互に反映する機能を追加した。管理マスターの保守負荷を軽減できるという。
従業員や役職、組織などの管理マスターの共通化は段階的な開発を予定している。
2023年度第2四半期以降はワークフロー機能を「マネーフォワード クラウド人事管理」(MF人事管理)に追加し、インボイス適格請求書発行事業者の登録番号を中小企業向けの「マネーフォワード クラウド会計」(MF会計)やMF会計Plus、「マネーフォワード クラウド債務支払」(MF債務支払)、請求書受領の「マネーフォワード クラウドインボイス」(MFインボイス)へと拡大する。
山田氏は「コンポーネント型ERPは個々のモジュールが注目されがちだが、ラインアップの拡充と併用時のユーザー体験向上に注力する」と取り組みの内容を説明した。
SaaS×Fintechの文脈では、「オンラインファクタリングの導入」と「送金プラットフォーム化」の2点が新たな取り組みである。
オンラインファクタリングでは、マネーフォワードと三菱UFJ銀行による合併会社Biz Forwardの中小企業向けオンラインファクタリングサービス「SHIKIN+」の連携開始を指し、MF会計に蓄積した各種データをもとにSHIKIN+による与信判断から、企業の資金繰りを支援するサービスを提供する。
決算書類などのスキャン処理は一切不要になる予定だ。マネーフォワードクラウド内にオンラインファクタリング機能を組み込む“エンベデッドファイナンス(組込型金融)”の実現も目指す。
送金プラットフォーム化でも、エンベデッドファイナンスの文脈として、電帳法に対応するクラウドストレージ「マネーフォワード クラウドBox」(MFBox)に格納した未払い請求書データ、給与管理の「マネーフォワード クラウド給与」(MF給与)の未払い給与データと送金プラットフォームのデータ連携も目指している。
現時点の送金方法は総合振り込みと給与振り込みの2種類を予定しているが、国内は銀行が主たる金融基盤となるため、更新系APIへの対応も期待が膨らむものの、マネーフォワードは現時点は非開示ながらも2023年中に行う発表会で説明すると述べていた。
同社の送金プラットフォームは、企業間取引(BtoB)決済向けにクレジットカードにも対応。当然ながら、取引データがリアルタイムにシステムに反映されるプリペイドカード「マネーフォワード ビジネスカード」も対象に含まれる。「請求書をMFBoxにアップロードし、OCR(光学文字認識)で読み込んだ内容を電帳法に即した形で保存」(山田氏)して支払いを連携する機能も開発中だと同社は説明した。