HPE、VMware代替基盤とAI基盤を2月に国内発売–日本に最適化

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は1月28日、VMware環境からの移行に対応する仮想化基盤製品「HPE VM Essentials」と、ハイブリッド型のAI基盤製品「HPE Private Cloud AI」を2月に国内で発売すると発表した。出荷開始は、HPE VM Essentialsを2月末、HPE Private Cloud AIを4月としている。

 2つの新製品は、2024年の同社の年次イベント「HPE Discover」で発表されたもの。日本での提供がグローバルでの発表から遅くなったことについて執行役員 ハイブリッドソリューションズ事業統括本部長の吉岡智司氏は、「HPE VM Essentialsは、HPE Private Cloud AIのエンジンとしても組み込んでおり、両製品をきちんとそろえて日本市場で提供できるようにした」と説明した。

 同氏は、HPEが長らくオンプレミス/クラウドのハイブリッドモデルによるITインフラの提供に取り組み続けているとした上で、「特にAIは、完全にハイブリッドモデルのワークロードになる」と言及。また、BroadcomによるVMwareの買収に伴い、旧来の各種仮想化製品が「VMware Cloud Foundation」に統合され、ライセンスなども大きく変更されたことで、ユーザー企業の中には別の環境への変更を検討する動きも見られた。

 吉岡氏の説明では、VMwareからの変更を検討する顧客に対応するというHPE VM Essentialsと、それを中核に組み込むHPE Private Cloud AIの提供の足並みをそろえることで、国内企業における仮想化基盤のリプレースやオンプレミス/クラウド環境でAI基盤を開発・運用したいとする需要に対応する考えだ。

 AI基盤について吉岡氏は、クラウドのハイパースケーラ―各社の基盤サービスの利用が注目を集める中で、企業や組織の重要なデータが意図せずクラウド側に渡ってしまう懸念などがあると指摘。複数のグローバル調査の結果を引用し、AIを本格的に利用する上で企業や組織の半数以上がクラウドを活用しつつ、機密性の高いデータはオンプレミスやプライベートクラウドで利用する意向にあり、今後はこうしたハイブリッドモデルが加速していくと予想した。

 HPE VM Essentialsは、HPEが2024年8月に買収したMorpheusの技術を用い、KVMベースのハイパーバイザー「HPE VM Essentials Hypervisor」と「VMware vSphere」の統合運用管理を可能にする製品。ソフトウェアのみで構成する「HPE VM Essentials Standalone」、HPE VM Essentials Standaloneと同社のサーバーやストレージなどのハードウェアを組み合わせた事前検証済み構成モデルの「HPE VM Essentials Embedded HPE Private Cloud Business Edition」、クラウドサービス環境の運用管理やフルマネジードサービスなどもセットにしている「HPE VM Essentials Embedded HPE Private Cloud Enterprise Edition」の3種類をラインアップする。HPE VM Essentials Embeddedの2種類は、グローバルでは2025年春頃以降に順次提供するという。

 HPE VM Essentialsについてハイブリッドソリューションズ事業統括本部 GreenLakeソリューションビジネス本部 ビジネス開発部長の小川大地氏は、「日本の顧客にとって必要十分とされる標準機能と価格で提供する」と説明。同氏によると、ソフトウェアのHPE VM Essentials Standaloneは、同社が2023年まで国内で販売し、約8割の顧客が購入していたという「VMware vSphere Standard」ライセンスでの機能や価格と同等にするとのこと。

 実勢価格などは、販売経路や購入する製品構成などによって大きく異なるとしつつ、VMware vSphere Standardで数十万円台、HPE VM Essentials Embedded HPE Private Cloud Business Editionで数百万円台、HPE VM Essentials Embedded HPE Private Cloud Enterprise Editionで数千万円台になる見込みとしている。

 HPE VM Essentialsのソフトウェアでは、VMware環境からの移行(VMware vSphereからHPE VM Essentials Hypervisorへ変換)するためのツールを無償で搭載する。ただし、実行にはシステム停止を必須とするため、無停止で実行可能な有償の「HPE Zetro」も併せて用意するとした。また、Morpheusのクラウドコスト管理機能なども今後提供していくという。

 もう一方のHPE Private Cloud AIは、HPEとNVIDIAが協業に基づいて共同開発したソリューション。HPEおよびNVIDIAのサーバー、GPU、ネットワーク、ストレージのハードウェアと、ソフトウェアとして「NVIDIA AI Enterprise」および「HPE AI Essentials」を搭載する。AIモデルのためのデータプリパレーション(準備)、モデル学習とカスタマイズ、推論実行、データエンジニアリング、分析と可視化、データサイエンスに必要なソフトウェアと必要十分な性能を提供するハードウェア群で構成されている。

 ハイブリッドソリューションズ事業統括本部 GreenLakeソリューションビジネス本部 ビジネス開発部 シニアカテゴリーマネージャーの寺倉貴浩氏は、「HPE Private Cloud AIは、概念実証(PoC)ではなく本番利用のための製品」と明快に述べ、吉岡氏が指摘したユーザーの状況を踏まえて、クラウドの利便性とオンプレミスの制御性の両立させたソリューションになると強調した。

 特にHPEの観点では、システム基盤の管理(インフラリソースやセキュリティなど)、AI基盤の管理(GPUリソースやデータソース、機械学習、パイプラインなど)、AI開発(データパイプライン、データ加工、アクセラレーター、ノートブック)の3種類のユーザータイプ別に運用管理環境を提供することが特徴だという。

 AI環境の提供には、エコシステムの拡充やエンジニア人材の育成、中長期的なコストの最適化にも取り組んでいるとし、エコシステムではグローバルパートナーに加えて、国内で2024年11月にSCSKとの協業を発表。ユーザーの多様なユースケース開発を支援する「Unleash AIパートナープログラム」も展開する。コスト面では、従量課金などを選択できる「HPE GreenLake」や「HPE Financial Services」などを活用できるとした。

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